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Channel: 無用之用(一見無用のようなものにこそ有用である)荘子
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fukoちゃんのナンチャッテ漢詩

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昨日の大阪の空です。
 
 
 
      fukoちゃんのナンチャッテ填詞
 
十六字令という填詞を作りました。填詞のなかで最も短いたった十六字です。日本の俳句くらいのものです。中国語でよむと十六音だから、俳句とほぼ同数です。填詞はルールがあります。
 
 十六字令  ◎韻 △●○○●●◎ ○○●、△●●○◎
△は平仄両用。●は仄声。○は平声。◎は平声の押韻です。絶句を作られる方は意味が解るはずです。一度作って下さい。最初の文字が韻になります。風なら上平聲一東の韻です。通韻はOKです。

風               風

飛雪吹來激叩窓     飛雪 吹き来たりて 激しく窓をたたく

龍吟樹           龍吟の樹
巽二 自無窮        巽二よ 自ずから 窮(きわ)まりなからん
 
※巽二ー風の神さまのこと。
 
 
 
十六字令          ◎韻 △●○○●●◎ ○○●、△●●○◎
天               天
 
光大無邊總是圓      光大(広大)無辺 総べてこれ 円かなり

崇高域            崇高なる域(いき)

何者獨游仙         何者か 独り 仙に遊ぶや
 
良いものは至難ですが、意味を通すだけなら誰にでも簡単に作れます。柏梁体連句は平仄を訪わないからアレはもっとも優しいですね。その次くらいです。

自動車の免許更新しました

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     自動車の免許更新しました
 
 
 
   fukoちゃん本日、自動車の免許を更新してきました^^
 
仕事場区内の警察署で更新手続きをしました。後何回出来るでしょうか。
 
 
  自動車や 免許更新 夕霧忌
 
アハハハ^^我ながら下手じゃ^^

浪速菅廟吟社新年雅会

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       浪速菅廟吟社新年雅会
 
 
 
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前日fukoちゃんが揮毫しました。あまり大きくするとアラが目立ちますのではい^^
 
 平成二十七年浪速菅廟吟社 一月号
 
 謹 賀 新 年 爲 柏 梁 體 連 句  五十音順
 
 
雅筵迎新思綿綿  雅筵 新を迎えて 思い綿々
               苔菴 揚田 崇徳  三原市
閑當讀書學先賢  閑かに読書に当たり 先賢を学ぶ
               星眸庵   新   大阪市
一朶春信菅廟前  一朶の春信 菅廟の前
               豐陽 荒木 英一  奈良市
春花映日泛清漣  春花日に映じ 清漣に泛ぶ
               鐵鳳 安東 勝幸  和泉市
玉字翔鸞冩花牋  玉字翔鸞 花箋に写す
               美舟 石川  繭  高松市
吟社絪縕更接連  吟社の絪縕 更に接連
               傚水 上田 清文  東大阪
堯天舜日梵煙  堯天 舜日 煙 梵らかなり
               未醒 梅津 史子  京都市
吟花詠月錦城邊  花に吟じ月に詠ずる 錦城の辺
               國司 大北 祐三  大阪市
淀江永遠流悠然  淀江永遠にして 流れ悠然たり
               王越 金生 久夫  大阪市
廟前先作柏梁篇  廟前先づ作す 柏梁の篇
               鵬城 北野 修司  大阪市
津波復興待新年  津波の復興 新年を待つ
               阿夜女 小久保美津子 蕨市
流思風淨心禪  思を祥風に流し 浄心の禅
               利久 小林省三郎  宝塚市
委身天命人生川  身を天命に委ぬるは人生の川なり
               笙麗  礼子     長野県
身在養生夢酒泉  身は養生に在りて酒泉を夢む
               玄齋 佐村 昌哉  大阪市
正是人生有善縁  正に是 人生 善縁有り
               紫雲英 圭子    秋田県
雛鶯出谷春可憐  雛鶯 谷を出るの春憐れむ可し
               流攝 菅 千鶴子  大阪市
模糊雲影月圓圓  糢糊たる雲影 月円円
               泥舟 杉谷 孝博  宮津市
春曙海波光彩姸  春曙の海波 光彩妍なり
               蒼雲 高畑 弘子  横浜市
吟友垂頭愼比肩  吟友頭を垂れ慎み肩を比べる
               貴山 忠津 治  八尾市
大鷹撃羽瞥風鳶  大鷹羽を撃ちて風鳶を瞥る
               粕春 中島 結樹  横浜市
年頭禊飮水潺潺  年頭の禊飮 水潺々
               隆篤 中張 隆夫  摂津市
祈念太平瑞雲全  太平を祈念す 瑞雲 全し
               幹邦 西岡 克啓  豊中市
汲泉望山獨茶煎  泉を汲み 山を望み 独り茶を煎す
               六岳 丹羽 博之  交野市
千年詩歌遙聯聯  千年の詩歌 遥かに聯聯
               雪稜 松村 曉二  八尾市
瑞鳥放光飛翩翩  瑞鳥 光を放ち 飛んで翩翩たり
               釣月 水田 耕平  明石市
新年の会は先ず大阪天満宮の本殿に昇り出席者全員で参拝。漢詩の隆昌と
上達を祈願致しました。参拝を終えまして、毎月例会を致します教室で直会、を戴き
ビールで乾杯、その前に暮れに亡くなられた、樋口秋甫雅媼に黙祷を捧げました。
 有り難い事に毎年お酒とお料理が直会として天満宮が用意して下さるので恐縮しながら有り難く楽しい新年の会を致しました。
 それに李 広宏さんが顔を出して下さったので我々としては大喜びで、↑にあげた柏梁体を中国語で朗詠して下さった^^これがね、良い響きなんですよ、自分のをうっとりと聞いていました。漢詩を作る者として至福の一時と言えましょう。
 お酒は呑んだといえど投稿詩は自宅参加の同人のものも朗読致しました。
 
 

浪速菅廟吟社 平成27年1月号 其の1

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    浪速菅廟吟社 平成27年1月号 其の1
 
 

 十二月課題
   歳 暮 感 懷      五十音順
 歳 暮 感 懷   笙麗   礼子  長野県
歳 除 欲 暮 興 無 窮  歳除 暮れんと欲し 興 無窮
詩 拙 依 然 宿 志 空  詩拙く 依然として宿志空し
自 問 高 歌 何 日 遂  自問す 高歌何れの日にか遂げん
飄 零 落 托 待 春 風  飄零落托 春風を待つ
 
 歳 暮 感 懐   紫雲英 圭子    秋田県
江 湖 有 望 月 微 明  江湖 望み有り 月 微明なり
多 感 満 天 無 限 情  感多きは天に満つ無限の情
天 涯 青 春 雲 樹 念  天涯の青春 雲樹の念
魂 飛 不 覺 笑 相 迎  魂飛び覚えず 笑って相迎える
 
 歳 暮 感 懷   流攝 菅 千鶴子  大阪市
除 鐘 韻 韻 響 寒 空  除鐘 韻韻 寒空に響き
衰 老 守 愚 心 有 忡  衰老愚を守りて 心忡ひ有り
獨 耐 慙 羞 魂 欲 醒  独り慙羞に耐へ 魂は醒めんと欲す
梅 花 一 笑 送 香 風  梅花一笑 香風を送る
 
 歳 暮 感 懷   泥舟 杉谷 孝博  宮津市
迷 津 歳 暮 幾 多 情  津に迷う歳暮 幾多の情
白 屋 爐 頭 伴 短 檠  白屋炉頭 短檠を伴う
讀 誦 遺 文 催 暗 涙  遺文を読誦すれば暗涙を催し
生 涯 如 水 志 難 成  生涯 水の如く 志成り難し
 
 歳 暮 感 懷   貴山 忠津 治  八尾市
赤 貧 如 洗 古 今 同  赤貧洗うが如きは古今同じゅうして
窮 鬼 已 知 禹 太 空  窮鬼已に知んぬ 嚢太だ空しきを
娯 醉 忘 憂 啼 活 計  酔いを娯しみ憂いを忘れ活計に啼き
白 駒 過 隙 歳 云 終  白駒隙を過り 歳云に終きんとす
 
 歳 暮 感 懷   粕春 中島 結樹  横浜市
六 親 相 集 慶 平 安  六親相ひ集ひて平安を慶び
談 讌 爐 邊 夜 已 闌  談讌す炉辺 夜已に闌なり
知 是 福 音 無 疾 病  知る是れ福音とは疾病無きこと
一 家 寧 日 百 憂 寛  一家の寧日 百憂寛たり
 
 歳 暮 感 懷   隆篤 中張 隆夫  摂津市
檢 曆 感 懷 還 一 年  暦を検す感懐 還一年
愁 如 逝 水 轉 凄 然  愁は逝水の如く 轉凄然たり
塵 緣 難 斷 安 吾 分  塵縁は断ち難たけれど吾が分に安んじ
老 去 浮 生 歳 月 遷  老い去る浮生 歳月遷る
 
 歳 暮 感 懷   雪稜 松村 曉二  八尾市
驛 頭 歳 暮 度 寒 風  駅頭の歳暮 寒風渡り
賈 客 發 聲 商 販 隆  賈客声を発して商販隆んなり
野 老 多 閑 禹 裡 乏  野老閑多くして 嚢裡乏し
繁 榮 何 國 問 窮 通  繁栄 何れの国か 窮通を問う
 
 歳 暮 感 懷   釣月 水田 耕平  明石市
歳 闌 買 暦 古 今 同  歳闌けて暦を買うこと 古今同じく
人 境 不 違 忙 碌 躬  人境は違わず 忙碌 窮まる
往 事 追 思 多 感 慨  往事 思いを追えば感慨多く
堪 來 桂 玉 酒 杯 中  桂玉に堪え来たる酒杯中
 
 歳 暮 感 懷   苔菴 揚田 崇徳  三原市
爐 頭 懷 舊 歳 將 除  炉頭 旧を懐い 歳 将に除かんとす
守 拙 吾 生 與 世 疎  拙を守る吾生 世と疎し
俗 士 功 名 何 所 見  俗士の功名 何の見る所ぞ
開 樽 閑 坐 讀 仙 書  樽を開き 閑坐して 仙書を読む
 
 歳 暮 感 懷   鐵鳳 安東 勝幸  和泉市
雄 心 易 老 轉 凄 然  雄心老い易し 転凄然たり
無 限 窮 愁 燈 火 前  限りなしの窮愁  燈火の前
晩 節 有 餘 追 往 事  晩節余り有り 往事を追う
哨 哨 執 筆 送 流 年  哨哨筆を執り 流年を送る
 
 歳 暮 感 懷   豐陽 荒木 英一  奈良市
殘 夜 寒 燈 陋 屋 居  残夜 寒灯 陋屋の居 
世 途 交 錯 未 如 何  世途交錯するは未だ如何ともするなし
唯 當 喜 悦 肉 親 健  唯当に肉親の健なるを喜悦すべきのみ
圍 卓 歡 談 共 歳 除  卓を囲みて歓談 共に歳除にいたる
 
 歳 暮 感 懷   美舟 石川 繭   高松市
塵 縁 荏 苒 亦 窮 通  塵縁荏苒 また窮通
桂 玉  忙 歳 月 空  桂玉忙 歳月空し
落 托 雖 家 歡 菽 水  落托の家と雖も 菽水を歓ぶ
圍 爐 屈 指 待 春 風  炉を囲み指を屈して 春風を待つ
 
 歳 暮 感 懷   傚水 上田 清文  東大阪
學 詩 甘 闊 略     詩を学ぶも 闊略に甘んじ
未 得 歳 將 除     未だ得ず 歳 將に除せんとす
早 已 催 年 老     早已に 年老を催し
殘 生 問 有 餘     残生 餘り有るかと問う
 
 歳 暮 感 懷   未醒   梅津   史子  京都市
今 茲 有 感 立 堂 前  今茲に感有りて堂前に立ち
詞 致 往 來 亡 祖 縁  詞致往来 亡祖の縁
盡 意 鐘 樓 撞 百 八  意を尽くして鐘楼  百八を撞く
殷 殷 聲 裡 又 逢 年  殷殷たる声裡 又年を逢える
 
 歳 暮 感 懷   國司 大北 祐三  大阪市
光 陰 逝 水 惜 居   光陰 逝水 居を惜しむ
如 夢 人 生 感 有 餘  夢の如し人生 感餘有り
鐘 語 何 堪 無 限 韻  鐘語 何ぞ堪えんや無限の韻
悠 然 靜 坐 讀 詩 書  悠然 静かに坐して 詩書を読む
 
 歳 暮 感 懷   王越 金生 久夫  大阪市
呻 吟 獨 誦 歳 將 遷  呻吟 独誦 歳将に遷らんとし
八 十 六 齢 辛 苦 筵  八十六齢 辛苦の筵
人 事 速 移 天 下 政  人事速に移せ 天下の政
萬 千   喜 無 邊  萬千の祥福 喜び 無邊
 
 歳 暮 感 懷   鵬城 北野 修司  大阪市
年 年 活 計 有 窮 通  年年の活計 窮通有るも
弟 妹 歸 來 糯 米 舂  弟妹帰り来たりて 糯米舂く
新 餅 吐 香 眞 美 味  新餅香を吐いて眞に美味たり
同 添 歳 旦 祝 餐 濃  同に添えん歳旦祝餐の濃やかなるに
 
 歳 暮 感 懷   阿夜女 小久保美津子 蕨市
寒 燈 瓶 菊 對 殘 書  寒灯 瓶菊 残書に対し
餞 歳 光 陰 感 有 餘  歳を餞るの光陰 感余り有り
伴 侶 團 欒 惟 一 夢  伴侶団欒するは惟一夢
猶 懷 情 熱 樂 閑 居  なお情熱を懐きて閑居を楽しむ
 
 歳 暮 感 懷   利久 小林省三郎  宝塚市
茶 梅 數 點 竹 籬 紅  茶梅 数点 竹籬 紅
山 麓 安 居 情 緒 豊  山麓の安居 情緒豊なり
聴 遠 聖 歌 流 麗 韻  遠に聴く聖歌 流麗たる韻
繁 忙 年 暮 咲 顔 充  繁忙の年暮 咲顔充つ
 
其の2に続く
 

浪速菅廟吟社 平成27年1月号 其の2

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    浪速菅廟吟社 平成27年1月号 其の2
 
 
 
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 十二月席題
   迎 春 準 備          五十音順

 迎 春 準 備   笙麗   礼子
朔 風 颯 颯 鬢 邊 寒  朔風颯々 鬢辺寒く
夜 市 鐘 聲 歳 序 殫  夜市の鐘声 歳序 殫きる
怱 遽 還 家 催 炮 煮  怱遽家に還りて炮煮を催せば
厨 房 爲 暖 備 春 盤  厨房 暖と為り 春盤を備う
 
 迎 春 準 備   紫雲英 圭子
風 寒 歳 暮 迫 心 塵  風寒き歳暮 心塵に迫る
世 路 昇 平 感 慨 新  世路昇平にして感慨新なり
一 是 迎 春 爲 準 備  一に是れ迎春の準備と為し
匆 忙 終 日 雪 中 人  匆忙たり終日雪中の人
 
 迎 春 準 備   流攝 菅 千鶴子 得東
梅 花 求 得 小 齋 中  梅花求め得たり 小斎の中
新 暦 清 明 例 歳 同  新暦は清明にして 例歳に同じ
手 拂 微 塵 短 檠 上  手づから微塵を拂ふ 短檠の上り
半 凍 書 卷 待 春 風  半ば凍てたる書巻 春風を待つ
 
 迎 春 準 備   泥舟 杉谷 孝博
新 正 準 備 太    新正の準備 太だたり
費 用 多 多 禹 已 空  費用 多々にして 嚢已に空なり
如 水 一 年 駒 過 隙  水の如く一年 駒隙を過ぎる
雪 晴 屈 指 待 春 風  雪晴れて指を屈して 春風を待つ
 
 迎 春 準 備   貴山 忠津 治
滄 桑 變 海 臥 雲 身  滄桑海に変せど 臥雲の身
些 少 辛 盤 些 少 醇  些少の辛盤 些少の醇
將 逝 窮 陰 餘 一 日  将に逝とす窮陰 一日を餘す
偏 怡 無 事 只 迎 春  偏に無事を怡んで只春を迎えるのみ
 
 迎 春 準 備   粕春 中島 結樹
書 齋 隅 奥 積 年 塵  書斎の隅奥積年の塵
机 案 拂 埃 清 淨 新  机案埃を拂へば清浄にして新たなり
窓 外 拭 泥 寒 月 皓  窓外の泥を拭へば寒月皓たり
正 襟 坐 以 待 煕 春  正襟 坐して以て煕春を待つ
 
 迎 春 準 備   雪稜 松村 曉二  得蕭
一 歳 欲 窮 貧 巷 蕭  一歳窮まらんと欲して 貧巷蕭しく
老 妻 口 盛 乃 翁 凋  老妻の口盛んにして 乃翁は凋む
乃 翁 遵 舌 設 松 竹  乃翁 舌に遵い 松竹を設く
不 願 新 春 又 値 朝  新春を願わざるも 又朝に値う
 
 迎 春 準 備   釣月 水田 耕平
歳 杪 乾 坤 雨 雪 中  歳杪の乾坤 雨雪の中
寒 氈 獨 坐 賦 送 窮  寒氈 獨坐して 窮を送るを賦す
迎 春 準 備 不 關 處  迎春の準備 関せざる処
志 業 無 由 待 東 風  志業 由無く東風を待つ
 
 迎 春 準 備   苔菴 揚田 崇徳  得微
媼 備 春 盤 事 不 違  媼は春盤を備え 事 違わず
梵 鐘 聲 裏 叟 開 扉  梵鐘声裏 叟は扉を開く
明 朝 妓 居 鷄 鳴 後  明朝妓居 鶏鳴の後
五 子 八 孫 含 笑 歸  五子八孫 笑を含みて帰らん
 
 迎 春 準 備   豐陽 荒木 英一
浮 生 囘 首 歳 將 終  浮生首を回らせば歳将に終わらんとし
買 曆 縫 衣 處 處 同  暦を買い衣を縫うは 処処同じ 
禿 筆 不 抛 詩 可 祭  禿筆抛たず 詩 祭るべし
寒 梅 一 笑 待 春 風  寒梅一笑して 春風を待つ
 
 迎 春 準 備   鐵鳳 安東 勝幸
白 髪 先 遭 歳 序 殫  白髪 先づ遭う 歳序殫き
流 年 雜 事 我 懷 寛  流年の雑事 我れ懐い寛し
一 家 常 趁 迎 春 事  一家 常に趁う 迎春の事
臘 酒 釀 成 思 百 端  臘酒の醸成り 思い百端
 
 迎 春 準 備   美舟 石川 繭
白 屋  忙 年 暮 晨  白屋忙 年暮の晨
除 門 掲 燭 眼 前 新  門を除し 燭を掲げて 眼前新なり
歡 娯 蜡 祭 年 年 例  歓娯蜡祭 年年の例
稔 歳 禱 祈 只 待 春  稔歳禱祈 只春を待つ
 
 迎 春 準 備   傚水 上田 清文
身 上 深 難 測     身上 深くして測り難し、
欣 逢 九 十 春     欣逢 九十の春。
吟 情 談 妙 理     吟情の 妙理を談じ、
再 造 日 應 新     再造 日に将に新たなるべし。
 
  迎 春 準 備   未醒 梅津 史子
寒 冱 曉 天 古 法 堂  寒冱ゆる曉天 古法堂
佛 陀  標 説 無 常  仏陀の清標  無常を説く
塵 埃 拭 去 窮 陰 行  塵埃拭い去るは 窮陰の行(ぎょう)
香 火 灑 然 已 夕 陽  香火灑然として  すでに夕陽
 
 迎 春 準 備   國司 大北 祐三
平 常 齷 齪 値 徂 年  平常齷齪として徂年にあう
如 矢 光 陰 世 態 遷  矢の如き光陰 世態遷る
屋 室 拂 塵 拭 書 架  屋室の塵を払い書架を拭いて
身 心 清 雅 主  前  身心清雅  主神の前
 
 迎 春 準 備   王越 金生 久夫
風 通 破 壁 晩 鐘 傳  風は破壁を通して晩鐘伝う
苦 節 幾 年 懷 變 遷  苦節幾年か 変遷を懐う
買 暦 設 松 肴 味 饌  暦を買い松を設けて 肴味饌え
年 頭 參 廟 冀 晴 天  年頭參廟 晴天をこいねがう
 
 迎 春 準 備   鵬城 北野 修司
白 駒 過 隙 老 塵 氛  白駒隙を過ぎる 塵氛に老い
又 聴 柝 聲 年 欲 分  又聴く柝声 年 分かたんと欲す
未 予 旦 装 厨 室 婦  未だ旦装を予せず 厨室の婦
猶 調 肴 酒 一 燈 殷  猶肴酒を調して 一燈殷んなり
 
 迎 春 準 備   阿夜女 小久保美津子
寒 梅 見 蕾 感 無 窮  寒梅の蕾を見て 感窮まり無く
挂 玉 年 間 嚢 已 空  桂玉は年間 嚢已に空
姉 妹 得 知 歡 菽 水  姉妹得たり知る 菽水の歓
明 年 買 暦 待 春 風  明年の暦を買って春風を待つ
 
 迎 春 準 備   利久 小林省三郎
年 過 茅 屋 掃 除 辰  年過ぎて 茅屋 掃除の辰
檐 下 壁 窓 振 積 塵  檐下 壁窓の 積塵を振う
清 麗 瓶 梅 書 室 整  清麗なる瓶梅 書室整い
周 圜 閑 靜 待 新 春  周圜閑静にして 新春を待つ

浪速菅廟吟社 平成27年1月号 其の3

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    浪速菅廟吟社 平成27年1月号 其の3
 
      聲 餘 韻
 
 歳 暮 感 懷   鵬城 北野 修司
晩 漏 空 餘 終 暦 辰  晩漏空しく餘す 終暦の辰
柝 聲 寒 響 陌 頭 巡  柝声の寒響 陌頭に巡る
馳 街 衆 庶 流 年 惜  街を馳す衆庶 流年を惜み
守 歳 千 家 殘 夜 遵  歳を守る千家 残夜に遵う
鏡 裏 無 功 憐 白 首  鏡裏功無き 白首を憐れみ
机 邊 存 志 憶 青 春  机辺志を存す 青春を憶う
蕭 収 筆 硯 孤 灯 下  蕭として筆硯を収む 孤灯の下
又 想 吟 風 弄 月 賓  又想う 吟風弄月の賓
 
 迎 春 準 備   鵬城 北野 修司
人 馳 陋 巷 尚 西 東  人は陋巷に馳せて 尚西東
日 轉 星 移 歳 此 窮  日転じ星移って 歳此に窮まる
少 壯 四 時 聊 正 緩  少壮の四時 聊か正に緩やかなるに
老 來 節 物 一 何 怱  老来の節物 一に何ぞ怱たる
瓶 梅 已 待 春 風 動  瓶梅 已に春風の動くを待つも
霜 鬢 未 収 塵 意 中  霜鬢 未だ塵意の中を収めず
改 暦 壁 頭 初 葉 展  暦を壁頭に改め 初葉を展けば
曙 光 赫 赫 富 峰 紅  曙光赫赫として 富峰紅なり
 
 失 題   苔菴 揚田 崇徳
婆娑嫌妙妓  婆娑として 妙妓を嫌い
婉娩好妍姿  婉娩として 妍姿を好む
奸佞安嬉宴  奸佞は 安んじて宴を嬉しみ
如奴努嬲姫  奴の如く 努めて姫を嬲る
 
 觀枯木鳴鵙圖   貴山 忠津 治
毫 釐 油 斷 死 生 明  毫釐の油断 死生明かなり
一 閃 流 光 裂 帛 聲  一閃の流光 裂帛の声
虎 視 眈 眈 覘 尺 蠖  虎視眈々 尺蠖を覘い
好 機 來 格 鵙 將 鳴  好機来格 鵙 将に鳴せんとす
 
 迎 春 準 備   未醒 梅津 史子
祇 園 藝 妓 事 成 魁  祇園の芸妓 事 魁けを成す
北 野 靈 巫 授  梅  北野の霊巫 福梅を授く
景 象 嬋 娟 招 慶 賀  景象嬋娟にして  慶賀を招く
一 僧 歩 歩 拂 塵 埃  一僧は歩々  塵埃を払わんとす
 
 迎 春 準 備   粕春 中島 結樹
暮 歳 清 齋 送 竈 神  暮歳 清斎して 竈神を送り
茅 簷 整 飾 迓 煕 春  茅簷 整飾して 煕春を迓ふ
皚 皚 無 跡 門 前 雪  皚皚として跡無し 門前の雪
屈 指 哀 歡 霜 髪 人  指を屈りて哀歓す 霜髪の人
 
 雪 霽 偶 成 (京・泊白河院)  星眸庵  新
一 朝 雪 霽 似 呈 祥  一朝雪霽れて 祥を呈するに似たり
端 麗 臘 梅 芳 馥 香  端麗なる臘梅 芳馥として香し
緩 歩 馮 來 茅 屋 下  緩歩し馮来たる 茅屋の下
日 昇 四 壁 白 無 疆  日昇りて四壁 白くして疆無し
 
十六字令詞譜  ◎韻 △●○○●●◎ ○○●、△●●○◎
△は平仄両用。●は仄声。○は平声。◎は平声の押韻です。絶句を作られる方は意味が解るはずです。一度作って下さい。最初の文字が韻になります。風なら上平聲一東の韻です。通韻は可能です。
 
  観  倣十六字令   未醒 梅津 史子
観           観
靜 夜 澄 高 轉 玉 盤  静夜澄高にして 玉盤転ず
庭 梅 蕾        庭梅の蕾
天 寵 與 誰 歡     天寵を誰と歓せん
 
  寒  倣十六字令   笙麗  礼子
寒           寒
地 凍 天 澄 月 彩 完  地凍て天澄み 月彩完たし
人 聲 絶        人声絶ゆ
只在雪衣巒       只在るは雪衣の巒
 
  春  倣十六字令   美舟 石川 繭
春           春
覺 暖 馮 窓 鳥 語 頻  暖を覚え窓に馮れば鳥語頻りにして
催 花 雨        花を催すの雨
觸 景 賞 心 新     景に触れて 賞心新なり
 
  天  倣十六字令  不孤 松村 曉二
天           天
光 大 無 邊 總 是 圓  光大無辺 総べてこれ 円かなり
崇 高 域        崇高なる域
何 者 獨 游 仙     何者か 独り 仙に遊ぶや
 
     告 知 板 
訃報です。さる十二月十五日樋口秋甫先生ご逝去されました。
秋鳳先生も肺炎になられたりでしたが今は快復なさっていますが奥さまを亡くされてさぞかしお心落としの事とさっせられます。吟社としてはお線香をお供え致しました。
 
  癌は馬鹿である
 癌は馬鹿である。とてつもなく馬鹿である。今夏、妻が癌の宣告を受けた。余命三ヶ月から半年、末期癌である。治療を繞って様々な意見が出たが、年齢を考えれば、このままそっとしておいて、癌と共存を図るのが、ベターではないか、幸いに妻は食欲も旺盛であるし、元気である。膵臓癌ではこう言う事例で、天寿を全うした人が幾らでも居るとのドクターの話である。これに賭けた。
 その後元気であったが、十二月に入って、癌は突如として牙をむきだし、妻を責めた。そして十数日で妻は逝った。そして癌も死んだ。己の身の滅びるのも知らず、妻を責めて、癌は死んだ。妻は色々な物を残してくれたが、癌は雨散霧消した。ざまあみろと言いたい。
 癌は馬鹿である。救いがたい馬鹿である。この馬鹿を、何時までものさばらしておくのか。
 孫の医者、薬剤師に早く何とかしろと言った。八つ当たりである。
癌は馬鹿である。バカバカ馬鹿、救いようのない馬鹿である。妻の居ない寂しさを「癌のバカバカ」と言って、慰めている。
 樋口秋鳳先生の奥さまへの追悼文であろうと存じます。ご冥福をお祈りして合掌。                    
                  戴いた書翰より写す       不孤散人
 (この一文読売新聞にも出ていました。)
 
 悼樋口秋甫先生   苔菴 揚田 崇徳
甲 午 嚴 冬 日  甲午 厳冬の日
仙 姫 乘 鶴 徂  仙姫 鶴に乗じて徂く
今 看 鷄 肋 册  今 看る 鶏肋の册
惆 悵 問 蓬 壺  惆悵として 蓬壷を問う
※鶏肋ー鶏肋集(樋口秋鳳先生主宰の鶏肋吟社の詩集)のこと。鶏肋は鶏の肋のことで食べる程の肉も無いが捨てるには勿体ない、出汁が取れるから〔魏志。武帝・裴松之注〕要するに謙遜の意味で使われて居ます。
 
 悼傷秋甫雅媼  倣虞美人    雪稜 松村 曉二
人 間 幾 許 識 衰 盛      人間 幾許か 衰盛を識り
無 限 才 華 迸          無限の才華迸る
就 中 妙 味 畫 詩 書      なかんずく画詩書に妙味ありて
心 緒 豪 放 繊 細 又 密 疎  心緒は豪放繊細また密疎
 ○     ○
不 堪 老 病 仙 遊 報      老病に堪えずと仙遊の報せ
不 覺 南 無 叫          覚えず南無と叫ぶ
哀 哉 如 母 感 洪 恩      哀しいかな母の如き洪恩を感ず
今 是 偏 稱 觀 自 佛 陀 論  今はこれ偏に称う観自仏陀の論
※報・叫ー通韻。
 
    漢 詩 讀 本 四 安岡正篤著
  漢詩の内容(品藻)
 詩は昔からシナでも日本でも、深く生活に織り込まれて、知識階級の教養の重要な部分になっていただけに、その鑑賞も非常に発達している。たとえば唐の司空図は詩品二十四則を立てて細論しているが、かえって煩瑣でそれに名作ほど色々の品等を兼備するから、所属を定めにくい。『滄浪詩話』に、厳羽は九品を立てている。
  高  俗を抜いて、内容が高いのをいう。
  古  なまなましいところの抜けきって、寂びが出ているのをいう。
  深  自然人生の内面的沈潜をいう。
  遠  現実に捕われない、抜け出た境地をいう。
  長  拘泥のない味わいの残る境地をいう。
  雄渾 全体的に力の籠っているものをいう。
  飄逸 形式に捕えられぬ自由と変化の妙をいう。
  悲壮 道義的な力の悲劇的発揮をいう。
  凄婉 沈抑され潜映せる女性的美をいう。
 審美的にはいちいち好い品題であるが、これをもっと根本的に要約して論じてみよう。
  骨力――力の感じ
 第一、佳い詩には力がなければならない。強さといってもよい。成語で言えば骨力である。厳羽が詩品としてではなく、詩法として挙げている格力という語をここに持って来ても宜しい。それは要するに創造の力である。大自然の裡に生きる小なる者の受けねばならぬ矛盾苦悩に堪える力である。生命の健やかさ、気象の雄々しさ、線の太さなどが、何処かに潜み、あるいは迫って来るようなものでなければならない。何となく弱く、あまく、脆いものは、一時婦女子の憐れみを買い得ても、結局真詩ではない。
 詩は漢魏というのも、漢や魏の頃には、一字一句について別段洗練されたところがなくとも、句なり詩全体において、言うに言えぬ強さ、純粋さ、古雅というような味わいあるものが多い。すなわち詩の技巧よりも本質に勝れ、そのために素朴な手法が、かえって転巧な後世の作詩の及びもつかぬ魅力と成果とを示しているのである。
 漢高祖の作という、
  大 風 起 兮 雲 飛 揚
    大風起こって雲飛揚し
  威 加 海 内 兮 歸 故 
    威 海内に加わって 故郷に帰る
  安 得 猛 士 兮 守 四 方
    いずくんぞ猛士を得て四方を守らしめん
や、曹操の作といわれる、
  老 驥 伏 櫪
    老驥櫪に伏す
  志 在 千 里
    志 千里に在り
  烈 士 暮 年
    烈士 暮年
  壯 心 不 己
    壮心やまず
などを初めとし、当時の歌詠を通読すると、はっきりそれが感じられる。
 詩は唐と言われ、その唐についても、初唐、盛唐と中唐、晩唐とを分けて、後者に慊らぬ評の多いのは、必ずしも無理ではない。第一にこの創造的力量が違うのである。
    趙暇の江楼書感の詩
  獨 上 江 樓 思 渺 然
    独り江楼に上って 思い渺然
  月 光 如 水 水 連 天
    月光 水の如く水 天に連る
  同 來 翫 月 人 何 處
    同じく来って月を翫びし人 何処ぞ
  風 景 依 稀 似 去 年
    風景 依稀として去年に似たり
など、いかにも弱い。「晩唐の人、気象衰颯、其の詩率ね多く只文字上に在つて架子を設く」と、皆川淇園もその詩話にこの例を挙げている。力がないから、全篇がどこか散漫である。これに比べて、次の二詩になるとよほど力がある。
    哀 孟 寂   唐  張  籍
  曲 江 院 裡 題 名 處
    曲江院裡 名を題する処
  十 九 人 中 最 年 少
    十九人中 最年少
  今 日 風 光 君 不 見
    今日 風向 君見えず
  杏 花 零 落 寺 門 前
    杏花 零落す 寺門の前
  ※曲江院―曲江の杏園に在る寺、慈恩寺。唐の韋肇が進士に及第した時、同寺の雁塔に名を題してから、これに倣う者が続出して故事になった。
※十九人中―『史記』の「平原君伝」に、趙の平原君使節の行十九人中、最後に無名の俊才毛遂を得たことを、十九という数から連想すると面白い。
    悼  亡   清 王漁洋
  藥 爐 經 巻 送 生 涯
    薬爐 経巻 生涯を送る
  禪 榻 春 風 兩 鬢 華
    禅榻 春風 両鬢の華
  一 語 寄 君 君 聽 取
    一語 君に寄す 君聴取せよ
  不 教 兒 女 衣 蘆 花
    児女をして蘆花をきぜしめず
※両鬢の華―両鬢の白髪
※結句―周の閔子騫至孝。早く母を亡う。継母二子を生み、これには冬棉絮の入った衣を着せ、子騫には蘆花の絮を用う。父これを知って後妻を悪み、ついにこれを出そうとした。子騫これを諫めて、母在れば一子凍え、母去らば二子凍えましょうといった。継母はこれを聞いて大いに悔いたと「孝子伝」にある。
 貧窮や放浪を詠じても、
    悲  歌   明  高  啓
  征 途 嶮 巇
    征途嶮巇
  人 乏 馬 飢
    人乏しく馬飢う
  富 老 不 如 貧 少
    富み老いんは貧しく少きに如かず
  美 遊 不 如 惡 歸
    美遊も悪帰に如かず
  浮 雲 随 風
    浮雲 風に随い
  零 落 四 野
    四野に零落す
  仰 天 悲 歌
    天を仰いで悲歌
  泣 數 行 下
    泣数行下る
※征途嶮巇―人生の行路はけわし。
    自州幕府暫帰秋林  金 元好問
  升 斗 微 官 不 療 飢
    升斗の微官 飢を療せず
  中 林 春 雨 蕨 芽 肥
    中林 春雨 蕨芽肥ゆ
歸 來 應 被 青 山 笑
    帰来 まさに青山に笑わるべし
可 惜 緇 塵 染 素 衣
    あたら緇塵 素衣を染む
※蕨芽―わらび。 ※緇塵―黒い塵。汚塵、浮世のけがれ。
貧乏月給に縛られて、小役人生活をしてきたが、久々に田舎に帰ってみると、折からの春雨に、山腹の林では「わらび」の芽がすくすく肥って伸びている。これでも食って十分生きられるのだ。しかもその方が何ぼ自由で、生きがいがあることだろう。思えば青山に笑われよう。あたらこの身を浮世の塵に汚したものだ――。生活の敗北から忽然として救われた清々しい呼吸がよく表されている。
    長 歌 行   宋 陸  游
  人 生 不 作 安 期 生
    人生 安期生となり
  醉 入 東 海 騎 長 鯨
    酔うて東海に入って長鯨に騎らずんば
  手 梟 逆 賊 清 舊 京
    手に逆賊を梟して旧京を清むべし
  金 印 煌 煌 未 入 手
    金印煌煌 未だ手に入らざるに
  白 髪 種 種 來 無 情
    白髪種々来って情無し
  成 都 古 寺 臥 秋 晩
    成都の古寺 秋晩に臥す
  落 日 偏 傍 僧 牕 明
    落日偏に僧牕傍うて明るし
  豈 其 馬 上 破 賊 手
    あにそれ 馬上 賊を破るの手
  哦 詩 長 作 寒 螿 鳴
    詩を哦うて 長に寒螿の鳴をなさんや
  興 來 買 盡 市 橋 酒
    興来たって買い尽くす 市橋の酒
  大 車 磊 落 堆 長 缾
    大車磊落 長缾 堆し
  哀 絲 豪 竹 助 劇 飲
    哀糸豪竹 劇飲を助け
  如 鉅 野 受 黄 河 傾
    鉅野 黄河の傾くを受くるが如し
  平 時 一 滴 不 入 口
    平時 一滴だに口に入れざるも
  意 氣 頓 使 千 人 驚
    意気 頓に千人をして驚かしむ
  國 讐 未 報 壯 士 老
    国讐 未だ報ぜず 壮士老い
  匣 中 寶 劍 夜 有 聲
    匣中 宝剣 夜 声あり
  何 當 凱 還 宴 將 士
    何か当に凱還して将士を宴すべき
  三 更 雪 壓 飛 狐 城
    三更 雪圧す 飛狐城
※安期生―古仙人。薬を海辺に売る(『抱朴子』)。 手に逆賊―字は良器、名は晟。徳宗の時、朱の乱を平げ、京師を回復し、功に依って西平王に封ぜらる。剛直の将軍。忠武と諡せらる。 金印―高官に任ずる際賜うところの印。 白髪種々―髪の短くなった貌。 寒螿―つくつくぼうし。 長缾―大徳利の類。 哀糸豪竹―悲哀な曲、豪快な曲。 鉅野―山東省に在る大沢。漢の孝武の時、黄河の水を決してここに注ぐ。 飛狐城―シナの西辺境、代郡の西南に在り。漢の酈食其、高祖に説いてこの口を塞がしむ。
    走 筆 贈 燕 孟 初   元 薩都剌
別 君 金 陵 城
    君に別る 金陵の城
  遇 君 錢 塘 驛
    君に遇う 銭塘の駅
  落 魄 江 湖 懶 折 腰
    江湖に落魄して 折腰に懶し
  笑 傲 公 侯 但 長 揖
    公侯に笑傲して ただ長揖す
  柳 花 吹 香 酒 缸 撲
    柳花 香を吹いて 酒缸を撲ち
  酒 波 灔 々 如 春 江
    酒波 灔々 春江の如し
  西 湖 天 鏡 碧 堕 地
    西湖の天鏡 碧 地に堕ち
  呉 山 蛾 眉 春 入 窓
    呉山の蛾眉 春 窓に入る
  平 生 豪 氣 如 虹 吐
    平生 豪気 虹吐の如し
  餘 子 粉 粉 何 足 數
    余子 粉々 何ぞ数うるに足らん
  驛 亭 把 酒 歌 別 離
    駅亭 酒を把って 別離を歌い
  醉 聽 江 潮 鳴 萬 皷
    酔うて聴く 江潮 万鼓鳴るを
※薩都剌―字は天錫、直斎と号す。元の泰定進士。気節有り。詩を以て鳴る。『雁門集』あり。 銭塘―銭塘江は潮の干満の差の甚しきを以て有名。遥かに末句と照応す。 酒缸―かめ、十升を容るる徳利。 蛾眉―蚕蛾の眉の如く曲線美のある眉。なだらかな山のスカイライン。
というような詩には、皆人に迫る格力がある。どこかに箇の力がなければ真の詩ではない。
  蘊藉――ふくみ
 真の力、真の強さは、必ずおちつきがなければならぬ、含蓄がなければならぬ。漫りに発してしまってはそれこそお終いである。能く造化的なるものほど、能く内に養うところがある。内に養うところがあれば、どことなく「うるおい」があって、「面に見れ、背に盎れる」。この「ふくみ」、「うるおい」、「おちつき」、「うまみ」を蘊藉という。詩人といえば感傷的な、あるいは昂奮しやすい激情家のように、世間では決めているが、真の詩人はそんなものではない。胸底に悠々たる安立、寂然たる諦観がなければ、本当に天地人生を詠えるものではないのである。だから浅薄な感傷語を羅列したり、うろたえた、わが儘な激語を弄んだりするのは、詩品を傷って、詩の本質たる雅趣を失い、俗化してしまう。
  老 色 日 上 面
    老色 日に面に上る
  歡 悰 日 去 心
    歓悰 日に心を去る
  今 既 不 如 昔
    今既に昔に如かず
  後 當 不 如 今
    後 当に今に如かざるべし
と黄山谷のように詠じては、それこそ理屈っぽくなり、面白くないが、
  公 退 清 間 如 致 仕
    公退清間 仕を致むるが如し
  酒 餘 歡 適 似 還 
    酒余 歓適 郷に還るに似たり
  不 妨 更 有 安 心 法
    妨げず更に安心の法あるを
  臥 對 縈 簾 一 炷 香
    臥して対す 簾を縈る一炷香
※歓悰―よろこび、たのしみ。 公退―役所より退出。
※妨げず―ままよぐらいの意味。
と東坡のように詠ずると、そこに得も言えぬおちつきや、うるおいが出て来る。
  寂 々 東 坡 一 老 翁
    寂々 東坡 一老翁
  白 頭 簫 散 滿 霜 風
    白頭 簫散 満霜の風
  兒 童 誤 喜 朱 顔 在
    児童 誤って喜ぶ 朱顔の在るを
  一 笑 那 知 是 酒 紅
    一笑 なんぞ知らん 酒紅なるを
佳いユーモアである。親子の情味津々たるものがあるではないか。
 李白の有名な怨情の詩、
  美 人 捲 珠 簾
    美人 珠簾を捲く
  深 坐 嚬 蛾 眉
    深坐 蛾眉をひそむ
  但 見 涙 痕 濕
    ただ見る 涙痕の湿えるを
  不 知 心 恨 誰
    知らず 心 誰をか恨む
も、最初は「但だ見る涕涙落つるを」であったが、半年の後に、現句のように、泣いている処ではなく、涙を斂めた処に改めたということである。そこにいっそう訴えるものが生ずるのである。
 文禄の小唄に、
  怨みたれども、いやみのほども無や
  さうして怨みも言ふ人によりか
とあるが、ここに蘊藉がある。梅田雲浜の、
  妻 臥 病 牀 兒 泣 飢
    妻病牀に臥し 児は飢に泣く
  此 心 誓 擬 拂 戎 夷
    此の心 誓って戎夷を払わんとす
  今 朝 死 別 兼 生 別
    今朝 死別と生別と
  唯 有 皇 天 后 土 知
    唯だ皇天后土の知る有るのみ
なども、志士の韻語として、思わず襟を正し、酸鼻させられるものがあるが、詩として芸術的に考えると、陸放翁の、
  死 去 元 知 萬 事 空
    死去 元知る 万事空なるを
  但 悲 不 見 九 州 同
    ただ悲しむ 九州の同を見ざるを
  王 師 北 定 中 原 日
    王師 北 中原を定むる日
  家 祭 無 忘 告 乃 翁
    家祭忘るるなく乃翁に告げよ
の蘊藉に及ばぬといわねばならない。
 山内容堂侯の逸題、
  風 捲 妖 雲 日 欲 斜
    風 妖雲を捲いて 日斜ならんとす
  多 艱 關 意 不 思 家
    多艱 意に関して 家を思わず
  誰 知 此 裏 有 餘 裕
    誰か知らん 此のうち余裕あるを
  立 馬 郊 原 看 菜 花
    馬を郊原に立てて菜花を看る
などは、如何にも英雄胸中の閑日月を思わせるものである。
 安積艮斎の春夜書感、
  野 梅 溪 柳 與 心 違
    野梅 渓柳 心と違い
  強 把 朝 衣 換 布 衣
    強いて朝衣をば(把って)布衣に換う
  銀 燭 影 微 春 宴 散
    銀燭 影微かに 春宴散じ
  滿 城 風 雪 夜 深 歸
    満城の風雪 夜深くして帰る
 ※野梅渓柳心と違い―野の花、渓の柳と共にくらすつもりであったのが、その素心とちがってしまった。も、その蘊藉に陶酔せしめるではないか。懐郷を詠じた詩でも、賈島が山西の并州に長く住まって、終始都に帰りたい心持に駆られていたが、いよいよ并州に分れる日が来て、桑乾河を渡った時、并州の空を顧みて作った詩、
  客 舎 并 州 己 十 霜
    并州に客舎して すでに十霜
  歸 心 日 夜 憶 咸 陽
    帰心 日夜 咸陽を憶う
  無 端 更 渡 桑 乾 水
    端なく更に桑乾の水を渡り
  却 望 并 州 是 故 
    并州を却望すれば是れ故郷
は、深く人情に触れて、「并州の情」という成語さえ今に伝わっている。
 理を語っても、さすがに涵養の厚い程明道の、
    秋日偶成
  閑 來 無 事 不 從 容
    閑来 事として従容たらざるなし
  睡 覺 東 窓 日 己 紅
    睡覚め 東窓 日すでに紅し
  萬 物 靜 観 皆 自 得
    万物 静観 皆自得す
  四 時 佳 興 與 人 同
    四時 佳興 人と同じ
  道 通 天 地 有 形 外
    道通ず 天地有形の外
  思 入 風 雲 變 態 中
    思入る風雲変態の中
  富 貴 不 淫 貧 賤 樂
    富貴に淫せず 貧賤に楽しむ
  男 兒 到 此 是 豪 雄
    男児ここに到ればこれ豪雄
の詩になると、無限の味わいがある。
 冬の寒い日、峡中の舟航に風を避難した宋の戴石屏の詩、
  棹 入 黄 蘆 浦
    棹さし入る 黄蘆の浦
  驚 飛 白 鷺 群
    驚き飛ぶ 白鷺の群れ
  霜 華 濃 似 雪
    霜華 雪よりも濃やかに
  水 氣 盛 於 雲
    水気 雲よりも盛んなり
  市 遠 炭  價
    市遠くして炭 価を増し
  天 寒 酒 策 勲
    天寒くして酒 勲を策す
  同 舟 有 佳 士
    同舟 佳士あり
  擁 被 共 論 文
    被を擁して共に文を論ず
なども、蘊藉を語るべき代表的な作であろう。恋愛詩なども、ただ人間の恋愛だけを露出しに詠って、果してどれほど真に深く人の心に徹するものであろうか。真の恋愛そのものには「人もなき 国もあらぬか 吾妹子と 携へゆきて たぐひてあらむ」という一面がある。東洋人には人間くさ過ぎて感ぜられやすい泰西詩人の詩境でさえ、一例を真理想主義といわれたデーメル(Dehmel)の代表作として伝わるAufblic(仰慕)にとっても、
  Wortlos sitzen wir Dunkeln,
  Einstmals rauschte hier ein Strom,
  Einstmals sahn wir Sterne funkeln,
  Ist denn alles tot und truebe?
  Horch―― : ein ferner Mund―― : von Dom―― :
  Glockenchoer…… Nacht…… Und Liebe……
   言葉なく闇に坐す
   曾てここに流水を聴き
   曾て星の輝くを見き
   あわれ物音逝きまた隠れしや
   聞け――遥かなる言葉――伽藍より――
   鐘の音――夜――そして恋
というように、自然を離れることは出来ない。前掲の香奩体の詩を取っても、
  静中楼閣 深春の雨
  遠処簾朧 半夜の燈
  柱を抱いて立つ時 風細々
  廊を繞って行く処 思騰々
で初めてしんみり読まされるのである。いずれにしても蘊藉なくして漢詩に造詣することは出来ない。
  深趣――深さ
 蘊藉、「おちつき」、「うるおい」、「ふくみ」、「うまみ」は同時に「深さ」、深趣と相待つべきものである。たとえば、宋の王樞の作、
  豪 氣 於 今 尚 未 除
   豪気 今になお今だ除せず
  難 將 壯 志 付 樵 漁
   壮志をば(もって)樵漁に付き難し
  短 衣 射 虎 南 山 下
   短衣 虎を射る 南山の下
  帶 月 歸 來 夜 讀 書
   月を帯びて 帰来 夜 書を読む
の結句をもし「轟酔放歌簪裾を嗤う」とでもしたならばどうか。それこそ馬賊の謡のようなものになってしまう。この詩は結の一句で、始からの豪懐に、言うに言えぬうるおいを生じ、ことに最後の「夜・書を読む」でさらにまた深趣を感じさせるのである。それに結句まで、まだ酒を飲んだり、放歌したり、嘲弄しては、まるで詩にはならない。
  老 去 功 名 意 轉 疎
   老去 功名 意うたた疎なり
  獨 騎 痩 馬 取 長 途
   独り痩馬に騎って長途を取る
  孤 村 到 暁 猶 燈 火
   孤村 暁に到って なお燈火
  知 有 人 家 夜 讀 書
   知る 人家 夜 書を読む有るを
 これは宋の晁冲之の暁行の絶句であるが、転句で読む者もホッと救われたような気がするところへ、結句でさらに粛然とする。そしていつしか読者自身、明日の勤めがあったり、妻子の煩いなどのある今日とは違って、夜のあけるまで、感興のままに書を読み明かすことなどの自由であった、若き頃のなつかしい思い出に引き入れられる。好い詩である。
 後藤春草の作、
  白 鷺 飛 邊 山 有 無  白鷺飛ぶ辺り 山有無
  斜 風 細 雨 水 糢 糊  斜風 細雨 水糢糊
  小 舟 葉 々 皆 蓑 笠  小舟 葉々 皆蓑笠
  那 箇 當 年 張 釣 徒  那箇か当年の張釣徒
   ※張釣徒―張志和、江湖におり、自ら煙波釣徒と称す。釣を垂れて餌を設けず。志、魚にあらざればなり(『唐書』隠逸伝)。
伊藤仁斎の作、
  長 把 巖 頭 一 釣 竿
    長く把る 巌頭 一釣竿
  龐 眉 白 髪 暮 江 寒
    龐眉 白髪 暮江寒し
  只 知 敲 火 燒 魚 飯
    只知る 火を敲き魚を焼いて飯するを
  勿 作 齋 州 男 子 看
    作す勿れ 斎州男子の看
龐眉―龐は大に同じ。 ※火を敲き―燧石で敲いて火を出す。
※作す勿れ斎州男子の看―太公望(呂尚)磻渓(陜西)に釣す。文王に召し出されて後、斉に封ぜられるという。すなわち、太公望のように機心ある男と看てくれるなの意。
 二首とも、漁父の図に題したものであるが、前者は餌をつけずに釣糸を垂れていた、釣りの趣味を本当に美的に楽しんで、煙波釣徒と号していた唐の隠逸、張志和を連想することによって、後者はまた、釣りといえば太公望を連想するのが常であるのに、そんな俗物と同一視して呉れては困ると、漁父みずからに語らせているところに、意表に出る着想の斬新さがあり、かつ転句に燧石をカチカチ叩いて、取った魚を焼いて食うだけのことだと、画ならば破墨一掃し去っているところ、かえって限りない深趣を添えている。傑作である。こうなるとやはり作者の人物である、悟境である。胸中万巻の書がなければならぬ所以であろう。
 気が利いているという程度ではこんな詩の脚下にも寄れない。軽巧は真詩の忌むところである。人格も深沈厚重が第一等の資質で、磊落豪雄これに次ぎ、聡明才弁を第三とした明の呂坤の識見は全く道に合している。したがって官能描写は如何に巧妙で、かつ清新でも、畢竟それだけのものである。下品を免れない。擬古主義がひからびて来ると、いつでもうるおいを求めて浪漫主義が興り、これがまたふやけてくると、自然主義、現実主義が盛んになって、清新な刺戟を要求する。これが文芸史の示すところで、漢詩でも、格調・神韻・性霊の論争がそれを物語っている。
 格調派というのは、宋以後次第に詩壇が活気を失い、平凡に陥り、明の初め頃、劉青田や高青邱らによってやや潑剌たる生命を回復しかけたが、国民的詩情はついに高潮せず、僅かに宮廷詩人らの穏雅な詩風(台閣体)が流行したけれども、気韻精采に乏しくて人を動かすに足りないでいたところへ、弘治・正徳の頃からの李夢陽、何景明らが出て唱道したもので、詩の芸術的形象、韻律的整調を重んずる詩風である。真の詩作は事件の羅列や概念の論理的発展ではなく、まず一種の音楽的情調、夢陽のいわゆる「情の自ら鳴るもの」が現われて、それからある詩想が湧いて出るものである。それが自己を形成して(夢陽のいわゆる吟の章)、初めて作品としての詩になる。故に真の詩は散漫な文字の羅列ではなく、生きた形象を成さねばならぬ。近代の詩は一字一句に好い処はあっても、全体の機構(格)、これを通ずる生動(調)の上に難がある。どうしても漢魏や初唐、盛唐時代の作品にかなわない。宋詩などになると、最も散漫、雑駁であるとして、彼等はこれを排斥し、復古を主張した。李・何の次に嘉靖年間、
李攀龍・王世貞が出てまたこれに唱和し、世に弘正七才子(前七才子)、嘉靖七才子(後七才子)などという。その派を一に古文辞派ともいって、日本では荻生徂徠一派(彼が萱場町に住んでいたので、萱の字をわざとむずかしく蘐の字にして蘐園派という)がこれを採って主張した。
 夢陽は詩の七の難問題として、
 一 格の古  全体的にさびていること
 二 調の逸  調律が平凡ばなれしていること
 三 気の舒  気分がこせついていないこと
 四 句の渾  句に小細工の見えぬこと
 五 音の円  声韻が洗練されていること
 六 思の冲  思想が月並でないこと
 七 情を以って之を発すること
  言わば理屈から出ていないこと
を挙げている(『潜邱山人記』)。
 その志向、議論はまことに好いが、実際は追々漢魏や唐の模擬に堕してしまった。そうなると形に凝って実の無い「膚廓」という譏を受けざるを得ない。この派を大別すると、格に拘泥する典故派と、むやみに声韻の法則を立てようとする声調派とにおのずから分れている。
 これに対してまた、創作的霊感とその端的な表現を旨とする一派が起こった。それが清の王漁洋の唱道した神韻派である。それは自然に短詩を常とし、あまり概念的に規定されるような字句を嫌う。しかしこれまた誤てば独りよがりの朦朧たるものになってしまう。法則に拘泥せず、時代の別など無意味とし、あくまでも個性的に清新自由(性霊)な芸術的創作を尊重して、従来詩人は口を開けば漢魏盛唐というが、彼はむしろ宋元諸大家のほしいままに性情を発揮しておるのを取って、唐では李白、温飛卿(庭筠)、宋では楊万里(誠斎)、元では薩天錫(都剌)、清では黄莘田(任)を推賞した。その説は明末の袁中郎(宏道)と合致する。これが性霊派である。けれども性霊派、自然派の主張する清新な個性刺戟も、心境が浅いと結局、感覚描写に終ってしまって蘊藉や深趣がなく、徒に着想や技術上の軽巧を誇るに堕してしまう。そうすると、またどっしりとした復古的な格調派などを要求せざるを得ないようになるのである。性霊派の大宗、清の袁子才の銷夏の詩、
  不 著 衣 冠 近 半 年
    衣冠を著けざる 半年に近し
  水 雲 深 處 抱 花 眠
    水雲深き処 花を抱いて眠る
  平 生 自 想 無 官 樂
    平生自ら想う 無官の楽
  第 一 驕 人 六 月 天
    第一 人に驕る 六月の天
など好きな詩であるが、やはり気の利いた、まず才調とでも言うほかないであろう。
 気が利いておるといえば、『香奩集』中の、
  一 夜 清 風 動 扇 愁
    一夜清風 扇愁を動かす
  背 時 容 色 入 新 秋
    時に背いて容色 新秋に入る
  桃 花 瞼 裏 汪 々 涙
    桃花瞼裏 汪々の涙
  忍 到 夜 深 枕 上 流
    忍んで夜深きに到って枕上に流る
など香奩体、宮体などの代表作であるが、厭いてしまう。
森春濤の、
    岐阜竹枝
  環 郭 皆 山 紫 翠 堆  郭を環る皆山 紫翠堆し
  夕 陽 人 倚 好 樓 臺  夕陽 人倚る 好楼台
  香 魚 欲 上 桃 花 落  香魚上らんとして桃花落ち
  三 十 六 灣 春 水 來  三十六湾 春水来る
   ※竹枝は唐の劉禹錫に始まるという詩の一体、土地の風俗恋愛などを題材とする民謡的なもの。
は佳作である。詩の字々句々に強烈な色彩や律動の感覚を惹起させる。詩そのものが印象的な画である。そして承句に、
  夕陽 人倚る好楼台
と夕陽美人と言いたいところを唯だ人とだけ言って、楼台の方に好の一字をつけたところなど老巧と言わねばならぬ。しかしいつまでもあかぬのは、やはりこういう詩ではない。
  さびしさに 堪へたる人の またもあれな
   庵ならべん 冬の山里(西行)
となり、
  埋火の 外に心は なけれども
   向へば見ゆる 白鳥の山(景樹)
を愛し、
  木 落 水 盡 千 崖 枯  木落ち 水尽き 千崖枯る
  迥 然 我 亦 見 眞 吾  迥然 我れまた真吾を見る
   (翁一瓢・四時読書楽)
を楽しむようにならねば済まないであろう。かくのごとく、なまなましいところ、あまいところがぬけきって、深山の喬木のように、幽谷の危巌のように、寂びがつき、絶対化している情態を高古とか蒼古などというのである。東洋では人物の修養も哲学も芸術も、ついてはここに到達するのである。
 
  編集後記
 春秋に富む方々が吾等が会に入会してくれるようになり嬉しく有り難いと思って居ます。全力を尽くして先人から教わったもの、自分なりに工夫して気づいたことなど痴呆にならないうちに伝えておきたい、それが努めだと思って居ます。出来うることなら八十五歳まで健康で菅公御退神一千百二十五年の大祭まではと思っています。何卒御協力の程を願ってやみません。                                   不孤散人
 

チョット散策

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実に良いお天気で亭亭たる寒樹 蒼穹に映ずって感じです^^季節の割には暖かかった。
 
        京の古刹を訪ねました
 
御朱印を戴くことと歩く事が目的で観光客の行かない古刹を訪ねて来ました。
 
 
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太秦広隆寺
絶世容姿慈愛光^^ 弥勒菩薩のことです^^
 なな何とこちら御朱印二度戴きました^^
   これより歩く事Ⅰ時間。疲れをしらないfukoちゃん次なる古寺へ。
 
  訪友山寺  倣漁歌子   不孤散人
牽杖蒼穹惠水邊  杖を蒼穹に牽く恵水の辺
長堤春未見飛鳶  長堤の春は未だし 飛鳶を見る
尋古刹 語詞顚  古刹を尋ね  詞顚と語る(らう)
魁津邑里是清縁  魁津の邑里 これ清縁なり
 
 漁歌子も填詞です。これは七言絶句から発展したものです。転句の所だけ六字にしてある。
特に対句との指示は無いが、皆さん対句にしておられます。fukoちゃんも対句にしました。
 
○●○○●●◎。○○○●●○◎。○●●、●○◎。○○●●●○◎。
平仄両用の所はありません。挑戦してみて下さい^^

風月社献詠1月

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京都の右京区にあるお寺。和歌の会とは関係ありません。fukoちゃんの友人のお寺です。
仏塔は花園天皇の縁のもので重要文化財とか、奧の三つの仏塔は山名宗全割腹の所(伝)だそうです。

       風 月 社 献 詠 一 月

 天満宮から今日は風月社ですがお忘れじゃないですかとTELがあったと、家から仕事場に掛かってきた。カアチャンコワイ^^
 fukoちゃんスッカリ忘れてまして、仕事の段取りをほったらかして参宮。10名餘の人が集まってくれていました。

日にちの暮らしのむきに恙なく神への感謝これぞ幸せ
直向(ひたむ)きに生きて今日つつがなく年より若きと言われてをりぬ

 ↑ 実は兼題ですから前以て作って有りましたが忘れていますから
慌てて兼題「幸」を

あまたなる夢を夢見て追ひながら
            かなはぬまでもこれが幸かと

 
今度は当座題「初蛭子」

   
ねがはくば 財をつかまむ 笹の枝に
            吉兆受けて いのるはかなさ
                                                  ↑
           こらこら、これはあかんやろてんで

ねがはくば 財をつかまむ 笹の枝に 
             吉兆受けて力たまはる                                                

兼題を本殿で朗詠いたしまして、これを披講といいますがこれでなんとか役目を果たしました。


fukoちゃんのナンチャッテ俳句

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    fukoちゃんのナンチャッテ俳句


   古寺や尼僧ゆびさす梅の蕾

古刹を訪ねたのは温かな日でしたが今日はまた
寒い一日でした。何とかUPできました。  
おやすみなさい。

 

漢詩の会です

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今月号の表紙です。



       漢 詩 の 会 で す

本日は大阪天満宮での漢詩の会です。大阪から遠く離れた同人諸兄姉にはご自宅で参加して下さい^^
皆様の玉作は後日UPいたします^^            

丸かじりジャ

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       ま る か じ り じ ゃ

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節分じゃ^^丸かじりじゃガハハハ^^

いつからか寿司丸かじり豆まかず鬼の住み家となりにけるかも
カアチャンかんにん^^




浪速菅廟吟社平成27年2月号其のⅠ

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   浪速菅廟吟社平成二十七年二月号 その一
 漢詩での一字の句は詠物体と言って実はチョットやソットで正式なものは出来ないのです。われわれは努力するという意味はありますがそれ程厳密にはしていません。だからして御覧下さいましたお方はこんな者かと思って戴きたいのです。
御題はご存知の皇室から出る御題で、漢詩では五言律詩で中国の時の皇帝に献じたのが始まりだそうです。
 「本」と言うことですが漢詩では本は書であり、本は本源とか根幹とかいう意味でこれも差違があって難しいのです。ご笑覧戴ければ幸栄です^^

 一月課題
御題 本    五十音順

 御題 本    紫雲英 圭子    秋田県
借 問 本 源 多 所 思  借問す本源 所思多く
研 修 根 幹 有 誰 知  研修す根幹誰か有りて知らん
是 非 微 志 眼 前 樂  是非なる微志以て何を楽しまん
高 掲 吟 燈 書 巻 髄  吟灯を高く掲げん 書巻の髄

 御題 本    流攝 菅 千鶴子  大阪市
蟹 行 疎 讀 獨 研 尋  蟹行読むに疎く 独り研尋す
鳥 迹 堆 棚 千 古 心  鳥迹は棚に堆き 千古の心
重 手 辭 書 長 夜 靜  手に重き辞書 長夜静かに
塵 編 傾 倒 愧  音  塵編 傾倒 清音に愧ず

 御題 本    泥舟 杉谷 孝博  宮津市
新 春 白 屋 讀 詩 書  新春 白屋にて詩書を読む
常 惜 寸 陰 心 自 序  常に寸陰を惜しんで心自ら舒ぶ
固 學 江 湖 知 逝 水  固より江湖に学び逝水を知る
根 元 求 盡 意 晏 如  根元 求め尽くせば意晏如たり

 御題 本    蒼雲 高畑 弘子  横浜市
国 士  懷 知 者 誰  国士高懐  知る者は誰そ
舐 毫 芸 閣 在 風 塵  舐毫芸閣 風塵に在り
著 書 日 月 研 巖 硯  書を著す日月  巌硯を研ぐ
英 俊 爭 雄 道 未 衰  英俊  雄を争う 道未だ衰えず

 御題 本    貴山 忠津 治  八尾市
春 光 浹 洽 照 坤 元  春光浹洽(しょうこう)坤元を照らす
運 氣 充 盈 佳 事 根  運気充盈 佳事の根
美 酒 甘 肴 眉 壽 礎  美酒甘肴 眉寿の礎にして
一 家 無 恙 至 歡 源  一家 恙無きは至歓の源

 御題 本    粕春 中島 結樹  横浜市
大 樹 延 根 逞 幹 枝  大樹は根を延ばして幹枝を逞しうし
江 河 出 石 至 天 涯  江河は石より出でて天涯に至る
人 綱 發 處 惟 書 帙  人綱の発する処 惟れ書帙
窮 理 開 成 莫 哭 岐  窮理開成して岐を哭すること莫かれ

 御題 本    六岳 丹羽 博之  交野市
幼 時 習 字 幾 星 霜  幼時より字を習ひて 幾星霜
日 日 教 鞭 研 究 忙  日々の教鞭 研究忙し
窓 外 俗 塵 良 倦 學  窓外の俗塵 良 学に倦み
老 來 慵 起 獨 親 觴  老来 慵起こりて独り觴に親しむ

 御題 本    雪稜 松村 曉二  八尾市
論 語 日 親 根 幹 仁  論語日々親しみて根幹は仁たらんと
終 生 無 患 愛 隣 人  終生患い無くして 隣人を愛す
君 知 無 限 藏 辛 苦  君知るや無限 辛苦を蔵すを
渾 願 安 寧 一 良 民  渾(すべて)は安寧を願う 一良民なり

 御題 本    豐陽 荒木 英一  奈良市
半 夜 忘 吾 對 古 書  半夜吾を忘れて 古書に対す
千 行 遺 稿 幾 多 譽  千行の遺稿 幾多の誉れ
史 詩 不 朽 無 窮 眼  史詩は不朽にして無窮の眼
貧 素  燈 照 卷 舒  貧素なる青灯 巻舒を照す

 御題 本    鐵鳳 安東 勝幸  和泉市
詩 中 一 字 古 書 研  詩中の一字 古書研す
垂 老 吾 文 耕 紙 田  老に垂とす吾が文 紙田を耕す
子 厚 吟 心 開 教 本  子厚の吟心 教本を開き
汗 牛 充 棟 苦 無 錢  汗牛充棟 銭なしを苦む
【自注】「汗牛充棟」は柳宗元(子厚)の故事より。「車に積めば其れを引く牛が汗をかき、家の中に積めば棟にまで充ちてしまうほど書物が多い」の意。

 御題 本   美舟 石川 繭   高松市
蕭 然 茅 屋 竹 窓 前  蕭然たる茅屋 竹窓の前
古 典 繙 閲 茶 獨 煎  古典繙閲しつつ 茶獨り煎る
懷 素 法 書 堆 浄 几  懷素法書 浄几に堆し
臨 池 走 筆 染 華 牋  臨池で筆を走らせ 華箋を染む

 御題 本    傚水 上田 清文  東大阪
壽 康 皆 有 命     寿康 皆 命有り
人 世 幾 遷 移     人世 幾遷移
眞 理 不 忘 本     真理 本を忘れず
向 榮 成 笑 嬉     栄に向かい 笑嬉を成す

 御題 本    未醒 梅津 史子  京都市
几 上 蕭 蕭 靜 夜 長  几上 蕭蕭として静夜長し
詩 情 溢 溢 睡 魔 忘  詩情 溢溢して睡魔忘る
知 人 勸 教 孟 詞 譜  知人勧教す 孟詞譜を
雖 此 索 求 存 異   此れを索求せんと雖も異郷に存り

 御題 本    阿夜女 小久保美津子 蕨市
天 資 心 緒 太 純 眞  天資の心緒 太はだ純真
黙 坐 親 書 感 激 新  黙坐して書に親しめば感激新たなり
雁 信 託 君 思 我 否  雁信君に託すも我を思うや否や
舊 交 難 忘 彼 青 春  旧交忘れがたき 彼の青春を

 御題 本    鵬城 北野 修司  大阪市
家 貧 金 次 学 無 資  家貧しき金次 学に資無し
朝 夕 担 薪 手 上 披  朝夕薪を担うて 手上に披く
理 字 悟 文 開 素 養  字を理り文を悟って素養を開き
丹 青 竟 作 一 生 師  丹青竟に作す 一生の師

 御題 本    利久 小林省三郎  宝塚市
世 評 雜 學 萬 書 沈  世評の雑学 萬書は沈む
名 著 金 言 天 啓 箴  名著金言は天啓の箴なり
熟 讀 思 惟 尋 意 義  熟読 思惟し意義を尋づぬるに
先 師 明 智 整 羅 針  先師の明智 羅針 整えり

 御題 本    笙麗   礼子    長野県
獨 坐 林 亭 筆 硯 親  独り林亭に坐し 筆硯親しむ
右 軍 書 法 妙 通 神  右軍の書法 妙にして神に通ず
臨 池 只 管 如 流 水  臨池只管 流水の如く
心 到 毫 芒 氣 韻 眞  心 毫芒に到れば 気韻真なり

投稿の諸氏ご苦労様でした。

浪速菅廟吟社平成27年2月号其のⅡ

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  浪速菅廟吟社平成二十七年二月号 其の二

 一月課題 其の二
年 頭 所 感

年頭所感^^所感は感じた所を詠む。または年頭偶成^^偶成はたまたま出来た。という気楽な所を詠めばいいのですがなかなか重いのあります。ご笑覧下さい。

 年 頭 偶 成   紫雲英 圭子
新 正 白 屋 曙 光 初  新正の白屋 曙光の初
景 物 輝 來 又 起 予  景物輝来たり 又予を起さん
一 醉 陶 然 身 好 在  一酔 陶然 身好ろしく在り
春 盤 満 肚 柳 眉 舒  春盤 満肚 柳眉舒ぶ

 年 頭 所 感   流攝 菅 千鶴子
初 光 迎 得 草 堂 春  初光迎へ得たり草堂の春
放 馥 早 梅 鶯 鳥 賓  馥を放つ早梅 鶯鳥の賓
椒 酒 陶 然 祈 壽   椒酒 陶然 寿福を祈り
年 來 樂 老 一 閑 人  年来老を楽しむ 一閑人

 年 頭 偶 成   泥舟  杉谷 孝博
五 雲 輝 處 喚 春 來  五雲輝く処 春を喚んで来る

詩 句 偶 成 年 又 囘  詩句偶たまなりて年又回る
駅 使 粛 然 香 和 酒  駅使は粛然 香り酒に和す
聞 鶯 會 友 共 傾 杯  鴬を聞き友と会して共に杯を傾く

 年 頭 所 感   貴山 忠津 治
鷄 聲 聽 得 瑞 光 晨  谿声 聴き得て 瑞光の晨
世 上 昇 平 萬 象 新  世上昇平 万象新なり
自 壽 三 元 一 杯 酒  自ずから寿ぐ三元 一杯の酒
頭 童 齒 豁 歳 重 春  頭は童歯は豁ろく歳重ぬるの春

 年 頭 偶 成   蒼雲 高畑 弘子
賀 正 瑞 靄 麗 装 天  正を賀す瑞靄  麗装の天
斟 酌 欣 欣 椒 酒 前  斟酌欣欣 椒酒の前
玉 暦 又 回 加 一 歳  玉暦又回りて 一歳を加わう
隊 隊 旭 日 本 然 鮮  瞳々たる旭日本然として鮮やかなり

 年 頭 所 感   粕春 中島 結樹
正 月 良 宵 畫 寶 船  正月良宵宝船を画き
家 人 枕 藉 慶 和 眠  家人枕藉して和を慶して眠る
赤 貧 囊 盡 雖 窮 境  赤貧の囊盡き窮境と雖も
萬 世 歡 欣 在 眼 前  万世の歓欣 眼前に在り

 年 頭 所 感   幹邦  西岡 克啓  豊中市
萬 里 仁 風 淑 氣 催  万里仁風 淑気催す
欣 欣 偕 老 共 傾 盃  欣々たる偕老 共に盃を傾けん
古 稀 鶴 髪 拝 年 信  古希の鶴髪 拝年の信
立 志 一 新 還 快 哉  志を立て一新すれば還快なる哉

 年 頭 所 感   雪稜 松村 曉二
門 頭 人 絶 寂 無 聲  門頭の人絶え 寂として声無く
細 雪 斜 飛 年 欲 明  細雪 斜めに飛んで年明けんとす
四 海 風 雲 被 災 否  四海の風雲 災を被るや否や
宰 司 裁 斷 慘 耶 榮  宰司の裁断 惨か栄か

 年 頭 所 感   苔菴 揚田 崇徳  三原市
年 頭 依 舊 一 瓢 貧  年頭 旧に依って 一瓢の貧
弄 月 吟 風 謝 世 塵  弄月 吟風 世塵に謝す
回 首 扶 桑 兵 馬 兆  首を回らせば 扶桑 兵馬の兆し
無 爲 愚 叟 竟 何 人  無為の愚叟 竟に何人ぞ
※一瓢貧:〔論語・雍也〕子曰、賢哉回也、一箪食、一瓢飲、在陋巷、……
竟何人:自分に対するあきらめ。

 年 頭 偶 成   鐵鳳 安東 勝幸
如 今 又 遇 坐 春 風  如今又遇う 春風に坐す
四 海 汪 然 瑞 気 籠  四海汪然 瑞気籠む
唱 和 詩 題 文 字 飲  唱和の詩題 文字の飲
呈  把 酒 苦 吟 躬  祥を呈し酒を把る 苦吟の躬

 年 頭 偶 成   美舟 石川 繭
新 春 和 氣 瑞 雲 新  新春の和気 瑞雲新なり
雪 解 鶯 聲 無 俗 塵  雪解け 鴬声 俗塵無し
啜 茗 繙 書 清 筆 硯  茗を啜り書を繙き 筆硯を清め
煕 煕 興 趣 入 佳 辰  煕煕たる興趣 佳辰に入る

 年 頭 所 感   傚水 上田 清文
遶 屋 韶 光 媚     屋を遶り 韶光媚び
殘 生 萬 感 來     残生 万感来たる
吟 魂 探 妙 訣     吟魂の 妙訣を探り
吾 壽 復 新 開     吾が寿 復 新に開く

 年 頭 所 感   國司 大北 祐三  大阪市
五   來 乙 未 年  五福祥来 乙未の年
元 朝 椒 酒 獻 酬 筵  元朝の椒酒 献酬の筵
佳 詞 拜 歳 喜 無 限  佳詞 拝歳 喜 限り無し
一 族 歡 榮 又 晏 然  一族の歓栄 又晏然

 年 頭 所 感   王越 金生 久夫  大阪市
歳 朝 瑞 氣 草 堂 湄  歳朝瑞気 草堂の湄
辰 巳 開 窓 初 日 曦  辰巳の窓を開けば初日曦る
無 恙 一 家 安 泰 國  恙が無き一家 安泰の国に
伴 孫 禮 拜 健 康 宜  孫を伴い礼拝す 健康の宜きを

 年 頭 所 感   鵬城 北野 修司
七 十 餘 年 不 結 纓  七十餘年 纓を結ばず
唯 同 家 累 守 柴 荊  唯家累を同じうして柴荊を守る
此 間 幸 覺 自 隨 分  此の間幸いに覚ゆるは自ら分に随う
時 習 北 窓 三 友 精  時習す北窓 三友の精

 年 頭 所 感   阿夜女 小久保美津子
吉  旭 日 瑞 雲 中  吉祥なる旭日 瑞雲の中
依 舊 吟 朋 笑 語 同  旧に依り吟朋 笑語同じゅうす
何 料 人 生 無 所 答  何ぞ料らんや人生答える所無く
健 康 偏 願 待 春 風  健康偏に願い 春風を待つ

 年 頭 所 感   利久 小林省三郎
新 春 家 族 健 康 中  新春の家族 健康の中
酒 盞 献 酬  氣 充  酒盞献酬 気充つ
三 世 歡 談 論 議 旺  三世の歓談 論議旺なり
至 心 成 就 禱 追 風  至心成就の 追風を祷る

 年 頭 所 感   笙麗 坂井田礼子
淑 氣 東 窓 迎 歳 時  淑気の東窓 歳を迎える時
疚 心 自 改 掲 書 帷  疚心自ずから改まり書帷を掲げる
苦 吟 底 滯 尋 常 事  苦吟底滞 尋常の事
閑 酌 屠 蘇 忽 有 詩  閑かに屠蘇を酌めば 忽ち詩有り

 掲載補遺
先月号に載せるべきところが漏れてしまったものです。Nさんゴメンナサイ。
 迎 春 準 備   隆篤 中張 隆夫  摂津市
鐘 聲 百 八 歳 將 除  鐘声 百八 歳将に除せんとし
悲 喜 榮 枯 感 有 餘  悲喜 栄枯 感餘りあり
我 道 人 生 駒 過 隙  我が道 人生 駒隙を過ぎる
明 年 奮 起 惜 居   明年奮起して居惜しまん

御投句下さいました方々有り難うです。その三に続きます。

浪速菅廟吟社平成27年2月号 そのⅢ

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   浪速菅廟吟社平成二十七年二月号 その三

  清 聲 餘 韻

 新 年 作    鵬城 北野 修司         禍  交 生 事 事 遷  禍福交も生じて 事事遷り
鷄 聲 報 曉 履 端 天  鶏声曉を報ず履端の天
暄 風 回 苑 氷 消 地  暄風苑を回って 氷 地に消え
瑞 氣 滿 門 煙 罩 阡  瑞氣門に満ちて 煙 阡に罩む
臘 酒 迎 新 開 快 意  臘酒新を迎えて 快意を開き
春 盤 依 舊 整  筵  春盤旧に依って 祥筵に整う
醉 餘 欲 賦 机 頭 坐  酔餘賦せんと欲して机頭に坐せば
笑 有 瓶 梅 三 兩 姸  笑って瓶梅の三両の妍なる有り

 早 春 訪 古 寺   星眸庵   新  
曲 徑 通 幽 澄 意 生  曲径幽に通じて 澄意生ず
僧 堂 只 聽 有 經 聲  僧堂ただ聴く 経声有るのみ
山 光 草 庵 春 風 度  山は光る草庵 春風渡り
古 澗 隔 林 鐘 磬 清  古澗林を隔てて 鐘磬清し

十六字令詞譜 ◎韻 △●○○●●◎ ○○●、△●●○◎
 親  倣十六字令  未醒 梅津 史子
親            親しむ
日 暖 風 輕 恵 水 津      日暖かく風軽き 恵水の津
陳 魁 綻         陳き魁 綻び
主 客 兩 顚 人      主客両ら 顛人たり
漁歌子詞譜  ○●○○●●◎。○○○●●○◎。○●●、●○◎。○○●●●○◎。

 待 詞 友  倣漁歌子     未醒 梅津 史子
京 洛 西 陬 探 早 芳  京洛西陬 早芳を探し
詞 朋 牽 杖 到 茅 堂  詞朋杖を牽き 茅堂に到る
庭 院 静        庭院静か
臘 梅 香        臘梅香る
歡 開 闔 扇 待  光  歓び開く 闔扇 清光を待つ

 早 春 偶 成  倣漁歌子    不孤 松村 曉二
山 寺 茅 堂 梵 唄 聲  山寺の茅堂 梵唄の声
魁 春 庭 上 早 鶯 鳴  春に魁け庭上 早鴬鳴く
追 雅 味        雅味を追い
走 鷗 盟        鷗盟に走る
三 千 世 界 自 平 明  三千世界 自ずから平明

 悼傷樋口秋甫先生
 悼樋口秋甫先生   鐵鳳 安東 勝幸  和泉市
何 疑 聞 訃 涙 成 行  何ぞ疑わん訃を聞いて涙行を成す
玉 折 無 情 日 失 光  玉折 無情 日 光を失う
盟 友 多 年 名 不 朽  盟友 多年 名は朽ちず
薫 陶 詩 稿 掬 遺 芳  薫陶の詩稿 遺芳を掬す

 悼傷樋口秋甫先生   鵬城 北野 修司  大阪市
一 朝 謁 信 愕 如 癲  一朝信に謁えて愕くこと癲の如く
百 讀 猶 疑 星 殞 箋  百読して猶疑う星 箋に殞つるを
臭 味 相 投 三 十 歳  臭味相投じて 三十歳
禮 容 毎 肅 社 中 賢  礼容毎に粛む 社中の賢
顧 懷 友 誼 断 腸 夕  顧みて友誼を懐う 断腸の夕べ
偏 願 仙 遊 朧 月 天  偏に仙遊を願ごう 朧月の天
北 望 寒 江 空 逝 水  北のかた寒江を望めば空しく逝水
涙 珠 幾 濕 舊 遺 篇  涙珠幾たびか湿す 旧遺篇
【自注】※寒江=淀川。我が家からは北の方にあるため。
 
   漢 詩 讀 本 五   安岡正篤著

  漢詩と偈頌
 漢詩を論ずればおのずから象徴に至らねばならぬ。詩人が性命を涵養して、深遠な諦観に造るほど、徒なる文字言語の空虚に堪えない。彼に取って正しく宇宙そのものが教理であり山川草木がその言葉である。だから彼の詩はおのずから象徴的ならざるを得ない。
象徴とは譬喩における主客の渾融した境地といってよい。象徴の最も簡単な好例は雅号である。元来、言語文字そのものは多分に人間相互の意思疎通の手段として発達したものであるから、独自のものほど言語文字にのりにくい。真己は却って自然の物「象」に「徴」らかである。かくして竹田や梅村や石谷や東坡と主人公との心契が、ついにその物を主人公の雅号とするに至らしめたのである。
詩人の尊い心霊――深い悟道が玄妙に自然の物象に徴されて詠まれた時、これを象徴詩という。かかる時、いかなる山川草木ももはや単なる山川草木ではなくして、そのまま心霊の広長舌である。妙法の清浄身である。東坡の廬山で詠じた偈、
溪 聲 便 是 廣 長 舌  渓声すなわち是れ広長舌
山 色 豈 非 清 浄 身  山色豈に清浄身に非ざらんや
夜 來 八 萬 四 千 偈  夜来八万四千の偈
他 日 如 何 擧 似 人  他日 如何か人に挙似せん
これを如何か挙示(似)するところに芸術がある。
水 流 任 急 境 常 靜
水流るる急なるに任せて境常に静けく
花 落 雖 頻 意 自 閑
花落つる頻なりと雖も意自ら閑
「そのまま」にはただ自然の景色を現わしただけである。けれども「そのまま」不尽の妙理を説いている。
水 流 萬 壑 心 無 競
水 万壑を流れて 心競う無く
月 落 千 山 影 自 孤
月 千山に落ちて 影自ら孤
この一聯、これを拈弄する人々のあらゆる境界に応じて、真に無礙自由の広長舌であろう。
「古仏いはく、山是山、水是水。この道取は山是山といふにあらず。山是山といふなり。しかあれば山を参究すべし。山を参究すれば山に巧夫あり。かくのごとくの山水、おのづから賢をなし、聖をなすなり」
※道取―道は「言う」の意、取は助詞。
と『正法眼蔵』山水経に道元も説いておる。その冒頭にまた曰く。
「而今の山水は古仏の道現成なり」。
唐末の長沙景岑は真に大自然に生きた詩人的禅僧であった。一時長沙の鹿苑寺にいたことがあったが、その後は住所を定めず、縁にしたがって物にまじわり、請わるるままに法を説いた。「百尺竿頭須進歩。十方世界是全身」という彼の偈はよくその人を現わしている。彼一日、山に遊んで、門口まで帰ってくると、一僧が出会いがしらに、何処へお出かけでしたかと尋ねた。
彼曰く、
始 随 芳 草 去  始め芳草に随って去り
又 逐 落 花 囘  また落花を逐うて回る
大層春らしいですね、とその僧がいうと、まあ秋の露が蓮に滴るよりましか、といった。『碧眼録』の原著者雪竇はこれに「答話を謝す」と着語している(第三十六則)。そしてその頌に、
大 地 絶 繊 埃  大地 繊埃を絶つ
何 人 眼 不 開  何人か眼開かざる
始 隨 芳 草 去  始め芳草に随って去り
又 逐 落 花 囘  また落花を逐うて回る
羸 鶴 翹 寒 木  羸鶴 寒木につまだち
狂 猿 嘯 古 臺  狂猿 古台にうそぶく
長 沙 無 限 意  長沙 無限の意
咄 々       咄々
とあるが、全くこの無限の意はこういう韻語によるほかあるまい。なぜ人は痩せ疲れた身となって、危かしい枯木にとまったり、狂おしい猿にもなって、荒れはてた台上にきょろきょろするのであろうか。宇宙人生の本体に直参せんとする禅旨よりすれば、人はせっかくの天地自然に余り盲目すぎる。長沙の師匠筋にあたる南泉普願にも佳話がある。ある日、彼に参じていた陸亘(御史大夫をしたので大夫と呼ばれている)が南泉と法談のついで、ふと、肇法師が「天地我と同根、万物我と一体」と説いているが、どうもよくわからぬというと、南泉は庭前の花を指して、今時の人々はこの一株の花を見ても、みんな夢のようなものだといった(『碧眼録』第四十則)。その頌に、
聞 見 覺 知 非 一 一  聞見 覚知 一一にあらずして
山 河 不 在 鏡 中 觀  山河 鏡中の観に在らず
霜 天 月 落 夜 將 半  霜天 月落ち 夜半ならんとす
誰 共 澄 潭 照 影 寒  誰か共に澄潭 照影寒き
とあるが、前二句は認識論の問題であり、それから直ちに本体の認証に転入して、おのずからこの象徴的手法による詩的表現になっている。
しかしここに到ることは実に難い。人々は多く浅薄な感覚に止まって、機械的模写的認識以上に用意に出られない。
鏡清(南泉よりも後進)が、外に聞えるあれは何の声だと聞くと、僧が雨だれの音ですと答えた。鏡清は云った、衆生はすべて逆様で、己に迷うて物を逐う(『碧眼録』第四十六則)。道元の傘松道詠にこれを詠じている。
聞ままに また心なき 身にしあらは
をのれなりけり 軒の玉水
声つから 耳にきこゆる 時しれは
我友ならぬ かたらひそなき
南泉の師匠筋の馬祖が百丈と歩いていた時、何処にいたのか一羽の野鴨がパッと飛んでいった。
馬 何だろう?
百 野鴨です。
馬 どこへいった?
百 飛んでいってしまいました。
馬祖はいきなり百丈の鼻をキュッとひねった。百丈は思わず鼻の中で唸った。
馬 どこにも飛んでいっておらんじゃないか(同書第五十三則)。
この頌に曰く。
野 鴨 子
野鴨子
知 何 許
知る いずくんぞ
馬 祖 見 來 相 共 語
馬祖 見来って 相共に語り
話 盡 山 雲 海 月 情
話し尽す 山雲海月の情
依 前 不 會 還 飛 去
依前 会せず また飛去る
欲 飛 去
飛去らんとして
却 把 住
また把住せらる
道 々
いえ、いえ
体験と直観の世界は、こういう風にどうしても論理を究尽して、象徴と韻語とに向かう。すなわち不立文字と称する所以であり、一句道取(一句に言い現わすの意、香厳撃竹の禅話による)を要求する。「宗教の最も力ある部分はその無意識の誌である」というアーノルドの見は深い(M. Arnold, The study of poetry)そこに偈や頌の深義があるからである。偈は元来梵語 Gatha の訳で、仏を讃仰し、妙法を詠嘆したものであるから、ちょうど『詩経』の頌に当る。それでこの字に翻訳したのであるが、その後、仏心宗と称せされ、不立文字を旨とする禅家は、おのずから他宗のように教理を論述するよりも、詩的表現の必要に迫られてこの偈頌を発達せしめ、ついに「唯風物を詠じ、唯情志を述ぶる」(『江湖集』略注序)ものも偈頌というようになった。ただし、それはあくまでも象徴的に深理を含むものでなくてはならぬ。そこで偈頌は詩の一体ではあっても、一般の詩になってしまってはならないのである。
宋の祖元が虚堂の許に参じた時、虚堂は僧を送る偈、
相 送 當 門 有 修 行
相送れば 門に当って 修行有り
爲 君 葉 々 起 清 風
君が為に 葉々 清風を起こす
と挙示すると、祖元がこれはただの閑語だ。些子の巴鼻(つかみどころ)もないと貶した話を『元亨釈書』より引いて、三浦梅園も偈頌に論及している(『詩轍』)。禅家が漫りにその詩作に偈頌の名を附けるのは苦々しいが、たとえば道元禅師や大智禅師等の偈頌道歌などを玩味しておると、また西洋哲学ではとうてい味わえぬ道味津々たるを覚える。西田幾多郎教授が晩年禅に参じ、禅を学のためになすは誤なり、余が心のため、生命のためになすべし。見性までは宗教や哲学のことを考えずといい、「世をはなれ人を忘れて我はただ、己が心の奥底にすむ」と述懐しているのも感が深い。
寒山詩は詩偈に出入して飄逸自在なところが、昔から文人士夫の間に喜ばれ、盛んに画題にも採られている。寒山は唐の貞観の頃、天台の附近に厳棲していた隠士で、時々国清寺に住んだ拾得という隠者と往来しておった。その堂壁や竹木に書き棄てた作品を道翹という僧が蒐集しておいたものが、いわゆる寒山詩だと伝えられている。
人 問 寒 山 道  人問う 寒山の道
寒 山 路 不 通  寒山 路通ぜず
夏 天 氷 未 釋  夏天 氷未だとけず
日 出 霧 朦 朧  日出でて霧朦朧
似 我 何 由 届  我に似るも何に由ってかいたらん
與 君 心 不 同  君と心同じからず
君 心 若 似 我  君が心 もし我に似ば
還 得 到 其 中  またその中に到るを得ん
可 貴 天 然 物  貴ぶべし 天然のもの
獨 一 無 伴 侶  独一にして伴侶無し
覓 侘 不 可 見  かれをもとめて見るべからず
出 入 無 門 戸  出入 門戸無し
促 之 在 方 寸  之をちぢむれば方寸に在り
儞 若 不 信 受  なんじもし信受せずんば
相 逢 不 相 遇  相逢うて相遇わず
というような作品が沢山あるが、誦みながら尽きぬ瞑想に導かれる。
城 中 蛾 眉 女  城中 蛾眉の女
珠 佩 何 珊 々  珠佩 何ぞ珊々
鸚 鵡 花 間 弄  鸚鵡 花間に弄し
琵 琶 月 下 弾  琵琶 月下に弾ず
長 歌 三 日 響  長歌 三日響き
短 舞 萬 人 看  短舞 万人看る
未 必 長 如 此  未だ必ずしも長く此の如くならず
芙 蓉 不 奈 寒  芙蓉も寒をばいかんともなせず
の一首は、ありふれたものと思うが、朱子はその論詩に引用して、詩人の到り易からぬ妙味として賞めている。
宋詩は純文芸派からよく理屈っぽいとして斥けられているが、人生観の浅い当時の尋常詩人や、没趣味な道学者の作はしばらくおいて、宇宙人生に深造している碩学達士の作には熟読玩味すべきものが多い。たとえば宋初の高士で、程明道が乱世の姦雄、道学の所得ある者とまで評した邵康節が、時の非を知って政局に立てず、心を易に潜め、迹を自然に託し、優遊吟詠の余になった『伊川撃壌集』などは詩史にも得がたいものである。清の陳碧城はその『頣道堂文鈔』中に康節を激賞し、胸次は曠達、言うところは皆和雅、自然の極、純乎たる天籟で、眼前の景物、手に任せて拈じ来って、みな鳶飛魚躍の気象があり、王維・猛浩然の諸家でも、これほど触処みな通じ、頭々是れ道というわけにはいかない。白楽天には康節の自然はあるが、その深醇がない。自分は古今名家の詩においては、みなその門径を渉って、時々似た処を発見するが、先生の詩はこれを学ぶこと数十年、似たものは頗る少ない。これでも霽月光風は躁心の人では領略することの出来ぬものであることがわかるといっているが、まことに同感に堪えない。試みに彼と朱晦庵・王陽明三哲人の詩を鑑賞しよう。
漢詩讀本五了
 
戦後の混乱期に我が浪速菅廟吟社が一時休会となっていました時に
安岡先生のお声を戴き再興致しまして今日に到って下ります。先生の事はは本当に有り難いと思って居ます。松村曉二拜^^


 月無尽 中国の古典と自然  前野直彬著
昭和四十七年出版の書物であります。
今月号のページが埋まらなくて、棚の奧に眠っていた本を取り出して、著書紹介もかね、ネットで検索すると中古であるが手に入ることが解りました。
高等学校の国語科の先生に向けて、尚学図書発行の雑誌「国語展望」に連載されたもの。それが後に東京大学出版会からの依頼でこの一冊を上梓された由であります。では其の「はしがき」を。
はしがき
自然は、時とともに変貌する。たとえば、山林を伐採して一軒の家が建てられ、一つの村落ができることは、一つの自然が破壊されたにほかならない。しかし、そこでまた時がたつと、村落のたたずまい自体が、あるいはその中にいとなまれる人生までも、きびしい自然と戦う姿をも含めて、周囲の風物の中にとけこみ、また一つの自然を形成して行くのであった。
だが、近ごろの日本では、そんな悠長なことは言っていられない。むかしの中国の詩人は「国破れて山河あり」とうたった。当節のわが国は、「国栄えて」いるのかどうか、私にはよくわからないけれども、山河は確実に失われつつある。そして経済力がどれほど成長しようと、おのれの山河を破壊し去った国が、ほんとうに栄えていると言えるのであろうか。
山河が変貌するのは、自然の理である。人間が生きて行くために、変貌させなければならぬ場合もある。ただ、そうしてうしなわれた山河は、決してもとにはもどらない。都会育ちの私にも、かつては愛して歩いた山々があり、泳いだ海もあった。その山も海も、もはや昔日のおもかげをとどめていない。たまにおとずれても、遠い以前の恋人の、老残の姿を見るような心地になるだけのことである。
ことは一個人の感傷ですむほどの問題ではない、とわかっているものの、私の心の中にいくばくかの感傷が巣くっているのは、否定できない。日ごろ中国の古典を読むときも、それがたびたび影を落とした。山河とは限らず、草木鳥獣をも含めた自然を、かつて中国の人々はどのように眺め、どう考えたか。中国の自然も、それを眺める人間の態度も、現代日本ほど急激ではないが、長い歴史の中で、たしかに変貌してきた。その後をさぐることは、迂遠なようだが、いずれはめぐりめぐって、われわれの自然の問題にともどるのではあるまいか  (略)。


開元年間、玄宗の治政の最盛期の、中秋明月の夜のことだった。月見の御宴の最中に、羅公遠がふと、玄宗に声をかけた。
「陛下は月に行ってみたいと思し召されませぬか」玄宗がうなずくと、公遠は手にした杖を、空へと投げ上げた。すると杖は天空に横たわったまま、銀色に輝く橋と化した。
公遠は先に立ち、玄宗と二人だけで、その橋を渡った。三、四里も歩いたと思うころ、目もくらむほどの光に包まれ、寒気が身にしみたとき、大きな宮殿の前に出た。公遠はそれを指しながら言った。
「これが月宮殿でございます。」
宮殿の中では数百人の女性が、白絹のころもをまとい、舞を舞っている。地上では聞いたことのない曲なので、たずねてみると、「霓裳羽衣の曲」と答えた。
 この書物が出て四十三年、中国の自然も人の心も急激に変貌したようですね。でもそんなことはどうでも良いのです。漢詩をお作りになる社中同人の方は一読して下さい。ネットで買われるのも仕方ないですが、梅田の古書街とか、近くの古書店に有りましたら買って上げて下さい。
アポロ十一号より千二百年も昔、月へ行った人物であります。
でも石は持って帰らなかったと。文章が少し前後しましたが、こう言う事が書かれて居ます。        「松村」

   告 知 板
樋口秋鳳先生よりお手紙を戴きました。
本日詩集頂戴致しました。
告知板にて小生の駄文を紹介して頂き、悼傷詩迄いただきまして誠にありがとうございました。深くお礼申しあげます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
樋口 達彦
 厳寒の時節雪深い処にお住まいの方、寒冷地のかた。頑張って乗り越えて下さい。
業務室

fukoちゃんのナンチャッテ填詞

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京阪電車の車窓から

  fukoちゃんのナンチャッテ填詞


fukoちゃんの記念すべき長詞「蘭陵王」です。ご存知雅樂の蘭陵王です。
唐宋の詞には、笛の曲・琴の曲・それと雅楽でオア馴染み、笙・篳篥・太鼓
琴などで演奏される物だそうです。蘭陵王は雅楽のオーケストラで演奏するものです^^
宋の次代の周邦彦がこの蘭陵王の調べで「柳」を詠んでいる。
その前に宋の徽宗(道君)のお忍びでお出ましになる歌妓のところでのお遊びのさまを「少年遊」を詠んだことが、道君に知れ、怒りを賜り地方へ流されることになり、別れの意味を持つ「柳」を詠んだわけであります。

《徽宗》1082~1135 北宋(ホクソウ)の第八代皇帝。在位1100~25。神宗の子。姓名は趙佶(チョウキツ)。書画・音楽や道教信仰に熱心で政治を顧みなかったため反乱がおこり、金(キン)の侵入(靖康の変)にあって退位、のち捕虜となって中国東北地方に送られ、その地で死んだ。書画をよくし、画院を設けて多くの画家を養成した。

 でfukoちゃんは、貧しくも憐れなですが、庶民としてのfukoちゃんの半生を「竹」と題して、詠みました。この8日の一日を費やして、途中で気分転換に梅田の古書街と天満橋近くの居酒屋でビールを呑んで帰り寄るに書けて後半をつくりました。

   竹  倣蘭陵王  不孤 散人

●○×(×は押韻。入声が決まりです)
寂寥竹         寂寥なる竹 

▽●○○●×(韻)▽△は平仄両用。●仄。○平。
風翠蕭蕭滿目      風は翆(みどり)にして蕭蕭と目に満つ

○○●
横山谷         山谷に横たわり

○●●○
塵絶氣澄        塵絶えて気澄む

△●○○●○×
四十年前結廬卜     四十年前 廬を結ばんとして卜す

○○●●×
成家眷属睦       家を成し眷属睦み

○×
多          福多し

○○●×
無常水速        常無きは水の速やかなるにして

○○●、○●●○
空華想 多少妄言    空華(くうげ)なる想い 多少なる妄言(もうごん)

○●○○●○×
人世無涯有坤軸     人世涯て無く 坤軸有り
                                         一段終わり
○           ●

○○●○×
騷然雀歸宿       騷然として 雀 宿に帰る

●●○○
是識安寧        是識る 安寧

○●○×
閑啜茗粥        閑かに茗粥(ちゃがゆ)を啜り

▽○▽●○○×
戲游幼女眉時蹙     戯れて幼女と遊び 眉 時に蹙むる

▽●●○●
霧霽雨餘筍       霧霽れて 雨餘の筍

●○○●
競爭収穫        競いて収穫を争い

○○▽●●×
呵呵大笑稟蓄      呵呵大笑して稟蓄(貯蔵)

●○●○×
樂哉鷸山麓       楽しいかな 鷸山(いつざん)の麓
                                              二段終わり
○           ●

○×
離俗          俗を離れ

●○×
鬢絲雪         鬢絲の雪

●●●○○
子女各成人       子女各々成人す

○●○×
衰老孤獨        衰老 孤独 

▽○△●○○×
否操釀具愉新麴     いな 醸具を操(と)り新麴を愉しまん

△●●○●
又悦作詩句       又悦びて詩句を作す

●○○×
洗心滋育        洗心 滋育

○○○●
孜孜求道        孜孜たる求道

●去●(去は此の位置は去声)
辨分樹         分を辨(わきま)えて樹(た)

去去×
繞素服         素服を繞(まと)
                                           三段終わり
                               平成27年2月8日作る

fukoちゃんのナンチャッテ俳句

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寒暖の差が体調を壊します皆様ご自愛を

     fukoちゃんのナンチャッテ俳句

 道の辺の孤高の色や寒椿

 緑濃き厚き葉に添う寒椿

久々の俳句です^^お恥ずかしいところをお見せいたします^^

平岡神社の梅林を訪ねました

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 平岡神社の梅林へ「雪中探梅」が吾等が詩社の課題詩でそんなこともあって短歌会の帰りに一駅歩いて云ってきました。ほんの咲き初めでした。

 白梅や訪ひしかいあり一二輪

今日は眠くておやすみなさい^^

散歩

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 散歩道には梅が満開でした。天気も好く温かでした。明日は漢詩会ですが天気どんなもんでしょうか^^

fukoちゃんのナンチャッテ漢詩

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   fukoちゃんのナンチャッテ漢詩

 桃園偶成      不孤 散人
 とうえんぐうせい       ふ こ さんじん
 

桃花繚亂集村園  桃花の繚乱す  村園に集う
                 とうか の りょうらん す そんえんにつどう

圍卓傾杯焼肉呑  卓を囲み杯を傾け   肉を焼いて呑む
                 たくをかこみ はいをかたむけ にくをやいて のむ

風流徒輩吟詩處  風流 の徒輩 詩を吟ずる処
                ふうりゅう の とはい しをぎんずるところ

儂醉不聞眠枕根  儂 は酔って聞かず 根を枕に眠る
                 おれ は よって きかず    ねをまくらに ねむる


 昨日は漢詩会で昨日のうちに拝送の準備ができ、本日クロネコさんにメールびんとして送った。
疲れもあって夕方から先程まで眠っていましたが、一句UPいたします。
焼肉なんてえのは漢詩の詩語ではありませんが、現実ですから許して戴けるでしょう^^
夜も遅いのでUPだけにしておきます^^おやすみなさい^^

浪速菅廟吟社平成二十七年三月号 その一

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大阪天満宮の盆梅展に盆石も展示された、

   浪速菅廟吟社平成二十七年三月号 その一

  平成二十七年浪速菅廟吟社 三月号


 二月課題
雪 中 探 梅    (五十音順)


 雪 中 探 梅   玄齋 佐村 昌哉  大阪市
逍 遙 積 雪 古 城 邊  雪を積む古城の辺を逍遥し
把酒 詩 人 寄 碧 箋  酒を把りて詩人 碧箋に寄す
僅 覘 白 中 紅 一 点  僅かに覘う白中の紅一点
閑 吟 芳 草 未芊 芊  閑かに吟ず芳草の未だ芊芊たらざるを

 雪 中 探 梅   流攝 菅 千鶴子  大阪市
暗 香 漾 處 趁 春 晴  暗香漾ふ処 春晴を趁ふ
尋 到 南 枝 點 素 英  尋ね到る南枝 素英を点ず
急 雪 飄 飄 危 杖 履  急雪飄飄 杖履を危うくし
依 爐 芳 袖 誘 詩 情  炉に依れば芳袖 詩情を誘ふ
 

 雪 中 探 梅   星眸庵   新   大阪市
寒 林 踏 雪 暮 鐘 沈  寒林の雪を踏めば暮鐘沈む
幽 徑 皚 皚 興 更 深  幽徑は皚皚として興更に深し
何 處 暗 香 獨 徘 徊  何處か暗香 独り徘徊す
報 春 數 點 坐 澄 心  春を報ずる数点坐に心を澄ます

 雪 中 探 梅   泥舟 杉谷 孝博  宮津市
寒 郷 山 處 鳥 聲 頻  寒郷の山処 鳥声頻りに
庭 際 風 情 畫 景 眞  庭際の風情 画景真なり
踏 雪 探 梅 還 踏 雪  雪を踏み梅を探りてまた雪を踏む
疎 枝 一 點 一 紅 春  疎枝や一点 一紅の春

 雪 中 探 梅   蒼雲 高畑 弘子  横浜市
報 春 詩 景 在 天 涯  春を報ず詩景 天涯に在り
黄 鳥 聲 遙 情 亦 加  黄鳥 声遥かにして情亦加わる
寒 邑 一 枝 香 不 斷  寒邑の一枝  香断たずして
雪 中 求 玉 到 梅 花  雪中玉を求めて 梅花に到る

 雪 中 探 梅   貴山 忠津 治  八尾市
郊 外 皚 皚 雪 作 堆  郊外 皚皚として 雪 堆を作す
遠 方 芳 信 破 寒 來  遠方の芳信 寒を破って来たる
四 邊 枝 杪 盡 如 鷺  四辺の枝杪 尽く鷺の如く
春 淺 氷 魂 尚 未 開  春は浅くして氷魂 尚未だ開かず

 雪 中 探 梅   粕春 中島 結樹  横浜市
風 光 清 冷 氣 精 純  風光は清冷 氣は精純
玉 樹 暉 暉 眼 界 新  玉樹暉暉として眼界新たなり
萬 白 雪 中 紅 一 点  萬白 雪中 紅一点
枝 頭 可 愛 小 村 春  枝頭 愛すべし 小村の春

 雪 中 探 梅   隆篤 中張 隆夫  摂津市
殘 雪 寒 香 淺 淺 春  残雪 寒香 浅浅の春
蕭 蕭 野 寺 絶 風 塵  蕭蕭たる野寺 風塵を絶す
門 前 梅 影 疎 鐘 裡  門前の梅影 疎鐘の裡
一 點 横 斜 笑 美 人  横斜に一点 美人笑む

 雪 中 探 梅   幹邦 西岡 克啓  豊中市
探 梅 城 外 雪 粧 晨  梅を城外に探る 雪粧の晨
歩 歩 巡 回 風 景 親  歩歩 巡回す 風景親しむ
積 素 横 斜 春 尚 浅  積素の横斜 春尚浅く
騒 人 墨 客 賞 心 新  騒人墨客 賞心新なり

 雪 中 探 梅   六岳 丹羽 博之  交野市
寒 香 十 里 早 鶯 天  寒香十里 早鶯の天
雪 後 吟 行 繞 郭 川  雪後吟行す 郭を繞るの川
閉 戸 絶 交 山 腹 屋  戸を閉ぢ交を絶つ 山腹の屋
孤 狸 來 訪 主 人 眠  孤狸来訪するも 主人は眠る

 雪 中 探 梅   雪稜 松村 曉二  八尾市
雪 蹊 三 里 伴 親 朋  雪蹊 三里 親朋を伴い
山 寺 空 庭 氣 愈 澄  山寺の空庭 気いいよ澄む
梅 樹 成 林 花 不 見  梅樹林と成るも 花見えず
暗 香 何 處 兩 眸 凝  暗香何の処よりか 両眸凝らす

 雪 中 探 梅   釣月 水田 耕平  明石市
春 寒 到 處 早 梅 妍  春寒到る處 早梅妍なり
來 訪 幽 香 雪 後 天  来たりて訪う幽香 雪後の天
映 水 虚 心 孤 月 照  水に虚心を映し 孤月照り
隨 風 雲 影 靜 如 禪  風に随う雲影静かなること禅の如し

 雪 中 探 梅   苔菴 揚田 崇徳  三原市
借 問 老 梅 開 未 開  借問す老梅開くや未だ開かざるや
閑 庭 曳 杖 獨 徘 徊  閑庭 杖を曳いて 独り徘徊す
六 花 片 片 好 風 裏  六花 片片 好風の裏
一 朶 暗 香 穿 雪 來  一朶の暗香 雪を穿ち来る

 雪 中 探 梅   豐陽 荒木 英一  奈良市
訪 梅 尋 路 雪 中 遊  梅を訪い路を尋ぬる 雪中の遊
疎 影 一 望 何 處 求  疎影一望 何の処にか求めん
喜 躍 初 鶯 聲 緩 渡  喜躍す初鶯 声緩かに渡る
幽 溪 輕 暖 暗 香 流  幽渓軽暖 暗香流る

 雪 中 探 梅   鐵鳳 安東 勝幸  和泉市
雪 映 清 溪 遊 百 囘  雪は清渓に映じて 遊百回
春 光 踏 影 美 人 來  春光影を踏んで 美人来たる
閑 人 占 得 閑 詩 料  閑人占め得たり 閑詩料
俯 仰 枝 頭 笑 口 開  俯仰す枝頭 笑うて口を開く

 雪 中 探 梅   美舟 石川  繭   高松市
細 徑 探 梅 踏 雪 行  細径 梅を探り 雪を踏んで行く
皚 皚 如 帶 六 花 清  皚皚として帯びるが如く六花清し
寒 空 靜 穩 黄 昏 月  寒空 靜穏 黄昏の月
映 水 一 英 風 趣 盈  水に映じて一英 風趣盈る

 雪 中 觀 梅   傚水 上田 清文  東大阪
玉 樹 千 山 色   玉樹 千山の色
梅 花 映 雪 輝   梅花 雪輝に映ず
追 懷 詩 裏 景   追懐す 詩裏の景
延 壽 好 忘 機   延寿 好し 機を忘れん

 雪 中 探 梅   未醒 梅津 史子  京都市
人 影 尋 春 墟 里 東  人影春を訪ねて 墟里の東
梅 林 寂 寞 未 開 中  梅林寂寞として 未だ開かずの中
天 空 風 起 銀 花 散  天空風起こり 銀花散る
煙 樹 横 斜 一 個 紅  煙樹横斜  一個の紅

 雪 中 探 梅  國司 大北 祐三  大阪市
餘 寒 欲 去 四 隣 聲  餘寒去らんと欲す 四隣の声
既 動 陽 風 殘 雪 晴  既に動く陽風 残雪晴れ
破 蕾 枝 頭 花 點 點  蕾を破って枝頭 花点々
暗 香 馥 郁 賞 心 傾  暗香馥郁 賞心傾く

 雪 中 探 梅  王越 金生 久夫  大阪市
如 月 已 中 寒 氣 頻  如月已に中ばなれど寒気頻
前 山 冠 雪 未 成 春  前山の冠雪 未だ春に成らず
有 名 寺 院 高 僧 韻  有名寺院 高僧の韻あり
南 苑 紅 梅 黄 鳥 賓  南苑の紅梅 黄鳥の賓

 雪 中 探 梅   鵬城 北野 修司  大阪市
人 去 鶯 難 至     人去って 鶯 至り難きも
林 梅 侵 雪 開     林梅 雪を侵して開く
素 妝 清 絶 美     素妝 清絶の美
欲 領 買 村 醅     領せんと欲して 村醅を買う

 雪 中 探 梅   紫雲英 圭子    秋田県
梅 信 來 囘 北 國 天  梅信来たり回る北国の天
春 風 數 刻 靜 如 禪  春風数刻 静かなること禅の如し
一 枝 清 淺 青 山 下  一枝清浅 青山の下
花 蕾 未 開 心 寂 然  花蕾未だ開かず 心寂然たり

 雪 中 探 梅   阿夜女 小久保美津子 蕨市
探 梅 村 下 遇 花 精  梅を探って村下花精に遇う
二 月 吟 行 句 未 成  二月の吟行 句未だ成らず
芳 信 恍 然 如 有 涙  芳信恍然として涙有るが如し
鶯 聲 竹 裡 雪 全 晴  鴬声 竹裡 雪全て晴るる

 雪 中 探 梅    利久  小林省三郎  宝塚市
探 梅 細 徑 向 山 堂  梅を探りて細径 山堂に向かう
積 雪 危 途 息 自 荒  積雪は途を危うくし息は自ずから荒る
處 處 疎 枝 不 見 花  処々なる疎枝 花を見ず
耐 寒 小 蕾 待 春 光  寒に耐えたる小蕾は 春光を待つ

 雪 中 探 梅    笙麗 坂井田礼子  長野県
夜 來 雪 盡 自 無 聲  夜来の雪尽きて 自ずから 声無く
窺 見 青 霄 曜 眼 睛  窺い見る青霄 眼睛に曜く
埋 沒 横 斜 銀 世 界  横斜は銀世界に埋没し
有 香 何 處 一 花 精  香り有るも何れの処か 一花精

                               其の一 了

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